「投資の未来」を制するデータに群がる巨大ヘッジファンド —— 個人投資家は戦えるか?

巨額を投じる投資家は常にエッジを求める。スタートレーダーから高速コンピューター、独自の分析まで、すべてが巨大ヘッジファンドに優位性をもたらし得るが、最新の主戦場はデータだ。

投資家らは競争相手が持っていない新たなデータセット、あるいは使うことを考えたこともないようなデータセットを奪い合っている。それはクレジットカードの使用記録といった基本的なデータから、出荷ルートを追跡する衛星データにまで及んでおり、こうしたデータを解析して取引シグナルを得ることは「投資の未来」と呼ばれている。

過去10年間で入手可能なデータが爆発的に増加し、これをヘッジファンドに提供する業界が登場している。ここで一般投資家にとって悪い知らせは、データの入手コストと、それを投資に生かせるインサイトに加工することに伴う複雑さによって、最大規模の最も洗練されたファンド以外にはそれらの入手が困難になるという見通しだ。

投資銀行JPモルガンが5月19日金曜日に開催した「Macro Quantitative & Derivatives Conference」で投資家237人を対象にビッグデータと機械学習について尋ねたところ、こうしたツールが徐々に全ての投資家にとって重要性を増すと思うとの回答が70%を占めた。さらに23%が、投資環境の急速な変化を伴う革命が起こるだろうと回答した。

アンケートのグラフ

Q1. ビッグデータ/機械学習についてどう思うか? A1. 一時的流行 ─投資家らの関心は低下する A2.進化 ─すべての投資家にとって重要性が徐々に増す A3. 革命 ─投資環境の急速な変化につながる

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「さまざまな取引頻度において、ビッグデータと機械学習が投資環境を変革するという点については幅広い見解の一致があり、出席者の80%は従来のデータソースの適合性が減じると予測している」とJPモルガンは述べている。

具体的には52%の投資家が、すでに従来のデータソース(財務諸表や景気指標など)の重要性はビッグデータの登場によって低下していると感じていた。言い換えれば、多くの一般投資家が頼りにしている四半期報告書はすでに以前ほど重要ではないということだ。

アンケートのグラフその2

Q3. ビッグデータによって従来のデータソース(財務諸表や景気指標など)の重要性は減っているか? A1. そう思う、すでに起きている A2. たぶんそうなる、数年以内に A3. ビッグデータが従来のデータソースに置き換わることはない

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いわゆるオルタナティブデータの台頭により、多様なデータソースを調達し、処理し、コンサルタントに応じる企業の一群が業界として誕生している。米調査会社TABBグループのレポートによると、米国でそうしたデータの市場規模は今後5年間で、現在の2億ドル(約220億円)規模から4億ドル(約440億円)規模に拡大することが予想される。

調査対象となった投資家らのうち、ローデータを用いて社内で完全処理したいという回答が29%だったのに対し、半数以上(51%)がセミプロセスデータの購入に前向きだった。

また回答者が特に関心を示したのは、クレジットカードと取引データだ。投資家らはカード請求書から収集される匿名データを用いることができ、オンラインショッピングも台頭している。Eメールで受け取る電子レシートも通常、請求明細が記載されているため消費者が何を購入しているのか、投資家らが詳細に把握することができ、活用できる。

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Q7. どのデータセットが最も有効に見えるか? A1. クレジットカードなどの商取引 A2. センチメント/ニュース/ソーシャルメディア A3. 衛星画像(駐車場/鉱山/船舶など) A4. 地理位置情報/フットフォール

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では、最大の障害は何か、と言えばコストだ。回答者は専門知識の不足やマネジメント・バイイン(MBI)を障害として挙げたが、中でも最も多かったのは固定費の高さだ。

JPモルガンのカンファレンスには、ブラックロック(BlackRock)やAQRといった世界有数の資産運用会社が集まっている。データや専門家、情報処理に投入できる多額の予算を持ち合わせている彼らが「高い」とみるならば、一般投資家にとってはノーチャンスに等しい。

[原文:This is the future of investing, and you probably can't afford it]

(翻訳:Tomoko A.)

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