アリ・フェドトウスキー氏
Jason Merritt/Getty
アリ・フェドトウスキー(Ali Fedotowsky)はFacebookを退社し、米ABCのリアリティー番組「Bachelorette」への出演を選んだ。
ロベルト・チェーザル・マテイ(Robert Cezar Matei)は、創業期のFacebook、Square、Instagramに入るチャンスを逃した。
どのスタートアップ企業が大成功して、10億ドル規模の企業になるかなど分かるはずがない。テック業界で働く人々は、千載一遇のチャンスをつかみ損ねるリスクと日々格闘している。
有利なオファーを断る人の中には、それでも成功を手にする人もいる。Instagramのケビン・シストロム(Kevin Systrom)がその好例だ。一方で、後悔しながら生きる人もいるだろう。
大金を稼ぐチャンスを逃した人たちを紹介していこう。
Instagramはアマンダ・ウィックステッドを迎え入れようとしたが、彼女は当時勤めていたソーシャルゲーム会社ジンガに愛着があった。
アマンダ・ウィックステッド氏
Amanda Wixted
初めに断っておくと、アマンダ・ウィックステッド(Amanda Wixted)は現在十分に成功している。彼女は創業期のジンガに入社し、IPO後も在籍していた。だが、2010年にInstagramからのオファーを受け入れていたら、今頃もっと稼いでいただろう。
ウィックステッド氏は、自分が逃したチャンスについて、Q&AサイトQuoraで以下のように書いている。
2010年6月、マイク・クリーガー氏とケビン・シストロム氏は、当時「Burbn」と呼んでいたモバイルウェブアプリを立ち上げようとしていた。私はジンガ(Zynga)のモバイルチームで主任エンジニアとして働いていた。マイクは、会社に加わらないかと連絡してきた。会って話すと、マイクはBurbnが目指す方向性について教えてくれた。写真共有アプリだ(中略)。
チームの雰囲気は素晴らしかったが、ただ写真共有アプリにはあまり心が躍らなかった。当時も今も、もっと複雑なものに取り組みたいと思い、ゲームの分野で仕事をしてきた。もちろん、今は悔やんでいる。後悔、先に立たずだけど。
現在ウィックステッド氏は、Meteor Grove Softwareの創業者で、eラーニング企業HomerのCTOを務めている。
アリ・フェドトウスキーはFacebookを退社して、ABCの恋愛リアリティー番組「The Bachelorette」に出演。あいにく、ゲットした恋人とは破局してしまった。
フェドトウスキー氏(左)とマルティネス氏(右)。米ABCの恋愛リアリティー番組『The Bachelorette』で結ばれたが……
Michael Buckner/Getty
2009年、彼女は悩んでいた。1人の独身男性が複数の女性の中から結婚相手を選ぶ米ABCのリアリティー番組「The Bachelor」に出演し、パイロットのジェイク・パベルカ(Jake Palveka)氏とデートしたが、その後、涙ながらに別れを告げてFacebookでの仕事に戻った。彼女は番組収録のために有給休暇を使い果たしており、ミリオネアになるチャンスを逃したくなかったのだ。
だがABCから、1人の女性が複数の男性の中から結婚相手を選ぶ「The Bachelorette」への出演を持ち掛けられた時、彼女はFacebookの営業職を辞めた。2010年3月のことだ。それから2年後、FacebookはIPOを行い、多くの社員がミリオネアになった。
フェドトウスキー氏と番組参加者のロベルト・マルティネス(Roberto Martinez)氏は婚約したが、放送終了後、間もなく破局。Facebookが彼女を再雇用することはなく、彼女はNBCのテレビ番組「1st Look」の司会者となった。現在、フェドトウスキー氏はテレビやラジオ番組の司会者ケビン・マンノ(Kevin Manno)氏と結婚し、「Ali Luvs」というブログを執筆している。
ジュリアン・ターゴウスキは2011年、Instagramからオファーを受けたが、それを断って自らのアプリを立ち上げた。
ジュリアン・ターゴウスキ(Julian Targowski)は、2011年10月、Instagramからオファーを受けたが、それを断って自らのアプリを立ち上げた。
同氏によると、自分のチームに愛着があったので、オファーには関心さえ抱かなかったという。
ターゴウスキはQuoraに以下のように書いている。
「後悔はない。こういうことが起きると、自分自身のこと、つまり、現状に満足しているか、仕事に打ち込めているか、数年後の目標は、といったことが良く分かる」
同氏が仕事を続けたスタートアップのDailyBoothは、2012年、Airbnbに買収された。
サヒール・ラヴィンギアは入社1年を前にPinterestを退社、ストックオプションをまったく得られなかった。
Gumroad創業期の社員たち。その中には創業者サヒール・ラヴィンギア氏の姿も(左から2人目)
Gumroad
現在、サヒール・ラヴィンギア(Sahil Lavingia)は、 シリコンバレーの投資家から800万ドル(約8億8000万円)を調達したスタートアップ企業Gumroadのオーナーだ。だが同社を創業するために、Pinterestナンバー2の地位を捨てなければならなかった。
もっと良い(または悪い)タイミングがあったかもしれない。彼は、Pinterest入社1年を迎える約1カ月前に退社したので、同社の株を全く手に入れられなかった。
うまくいけばその分をGumroadで取り返せるだろう。なお、Pinterestの企業評価は約110億ドルだ。
ロベルト・チェーザル・マテイは、Instagram創業チームに参加するチャンスを得たが、Quoraを選んだ。
Instagramのオフィスで同僚と深夜まで働くマテイ氏。 当初ここで働いていたが、辞めてしまった
Robert Cezar Matei via Quora/Instagram
ロベルト・チェーザル・マテイは、ビッグチャンスをたびたび逃してきた。初めはFacebook。彼は入社のチャンスを捨て、スタンフォード大学に残った。その後、モバイル決済サービスのSquareにも心を動かされず、創業期に入社するチャンスを逃した。
だが最大のミスは、Instagramのオファーを断ったことだろう。彼は同社からセカンドエンジニアとしてのオファーを受けた。しかも、Instagramの創業者らは彼以前にたった1人にしかオファーを出したことがなかった。
「次にどこで働こうかと考えていたとき、Instagramから、同社のAPIを使ったフォローのレコメンドアルゴリズム構築を任された。それは気に入ってもらえたと思う」とマテイはQuoraに書いている。
「Instagramのビジョンについて語り合った。夜中の1時に一緒に日本酒を飲んだ。ケビン(Instagramの共同創業者)は、ともに味わった思い出や写真を散りばめた素敵な採用通知書を送ってくれた。彼は採用通知ではいつもそうしていた。感激だったよ」
だがマテイはQuoraに入社した。Quoraのビジョンとポジションがより魅力的だった。
「長い間シリコンバレーにいると、チャンスを逃すこともあるだろう。そんなことはいい。チャンスは、後になって思うほど近くにはなかった。私の人生がもっと悪くなる可能性もたくさんある」
マテイは今もQuoraで働いている。
マーク・ザッカーバーグのルームメイトで、Face Mashの共同制作者は、Facebookの創業チームに参加しなかった。
ジョー・グリーン氏
NationBuilder
ジョー・グリーン(Joe Green)は、ハーバード大学在籍中、マーク・ザッカーバーグのルームメイトだった。2人はFace Mashを作り、大学で問題となった。
UCLAの教授だったグリーンの父親は、もうザッカーバーグと一緒に仕事をしないようにと注意した。そのため、ザッカーバーグからFacebookの事業運営を統括するように頼まれた時、グリーンは辞退した。このポジションに就いていれば、同社株の約3~4%を与えられていたはずで、30億ドル程度にはなっていただろうとグリーンは考えている。
それでも彼は、同社のアドバイザーとしてFacebook株をいくらか手に入れた。そして他のFacebook初期メンバーの支援を受けて、CausesやNationBuilderの創業に携わった。その後、NationBuilderを退社し、ベンチャーキャピタルAndreessen Horowitzに参加した。一方、Causesには現在も取締役会のメンバーとして参加している。
グリーンはブルームバーグに次のように語っている。
「ときどき苦々しい思いを抱くこともあるが、全体的に見て自分がやってきたことに満足している」
ジョー・ジャクソンもまたFacebookの創業メンバーになるチャンスを逃した。Facebookがカリフォルニア州パロアルトに借りた別荘に行かず、JPモルガンのインターンシップに参加した。
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Facebookがスタートしたころ、ザッカーバーグは夏休みを過ごすために、パロアルトに家を借りた。そして、ハーバード大学のクラスメートだったジョー・ジャクソン(Joe Jackson)を招待した。
だがジャクソンはニューヨークへ行き、JPモルガン・チェースのインターンシップに参加した。
「完全に乗り損ねた」と、彼はFacebookのストックオプションを逃してしまったことについて、ブルームバーグに語った。
「私は『これは金持ちの有名人になるチャンスかもしれない』とは考えていなかった。ただ『パロアルトに行って、仲間と一緒に過ごし、どうなるか分からないスタートアップのためにプログラミングするだけだ』と考えていた」
ジョシュア・インケンブラントはInstagramのオファーを断って、Pinterestのエンジニアになった。
ジョシュア・インケンブラント氏
Joshua Inkenbrandt via Quora
ウィックステッドと同様に、ジョシュア・インケンブラント(Joshua Inkenbrandt)も成功している。彼はInstagramではなくPinterestを選んだが、それでも十分に稼げるだろう。
だがInstagramを選んでいたら、もうミリオネアになっていたかもしれない。彼はQuoraに以下のように書いている。
「私はInstagramではなくPinterestで働くことを選んだ。あらゆる意味で簡単な決断ではなかった。Instagramも、それを作っている人も、本当に好きだったから。Pinterestを選んだ理由は心の中にしまっておくが、決断に悔いはないと言っておこう」
以下の人々は、Facebookのオファーを断ったが別の方法で大金を稼いだ。
ケビン・シストロム氏
OFFICIAL LEWEB PHOTOS/Flickr
ケビン・シストロム(Kevin Systrom):Facebookのオファーを断り、後に自身の会社Instagramをザッカーバーグに10億ドルで売却した。
マイク・アボット(Mike Abbott):Twitterのエンジニアリング責任者になった。
スティーブ・チェン(Steve Chen):Facebookに数カ月間勤めてから、YouTubeを設立。16億ドルでグーグルに売却した。
(敬称略)
source:Amanda Wixted、Twitter、Gumroad、Robert Cezar Matei via Quora/Instagram、NationBuilder、Joshua Inkenbrandt via Quora、OFFICIAL LEWEB PHOTOS/Flickr
[原文:Just missed millions: These 8 people walked away from early jobs at billion-dollar companies]
(翻訳:Conyac)