経営統合により発足したドラッグストア大手ココカラファイン(3098)の株価が上昇を続けている。過去9カ月で64%、今年に入ってから28%上がり、5月31日には5660円と年初来最高値を更新した。
株価上昇のモメンタムの原動力にココカラファインが設立から続ける戦略がある。中国・アジア事業を強化する一方で、国内のドラッグストア市場でM&A(合併・買収)を通じて収益を拡大している。
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セガミメディクスとセイジョーとの経営統合により2008年に設立されたココカラファインホールディングス。首都圏のほか、北海道や新潟、群馬、山形、富山、京都、兵庫、岡山、山口など各地のドラッグストアや調剤事業の買収を進め、3月末現在で42都道府県で1304店舗を展開している。先月には、島根県で調剤薬局・ドラッグストアを展開する有限会社古志薬局の株式を取得、子会社化。2017年度もM&Aの勢いが続きそうだ。
時価総額約1420億円のココカラファインは中国・アジア事業にも積極的だ。
2009年にはサモアバイオ社への出資を通じて、日本企業として初めて中国でのドラッグストア事業の展開を決定。2012年5月には中国現地法人「 可開嘉来(上海)商貿有限公司」を通じ、1号店となる「cocokaraメトロ5番街店」を出店した。 さらに伊藤忠商事(8001)やアルフレッサホールディングス(2784)、現地で約900店舗の薬局を展開する成大方円医薬連鎖投資有限公司と合弁会社を設立、上海で2店舗、大連で1店舗を展開している。タイ、ベトナム、ロシアで卸事業も行っている。
ココカラファインは2018年3月期の連結経常利益を138億円と予想し、過去最高益を見込んでいる。同社の2017年3月期の売り上げは前年比1.1%増の3772億300万円。営業利益は8.6%減の101億5900万円となった。国内のドラッグストア市場での競争が激化する中、各社は異業種を交えた業務・資本提携、M&Aなど企業の生き残りをかけた統合・再編の動きが活発化している。