ニューヨーク・タイムズの編集長ディーン・バケット氏は、内部情報のリークが相次いでいるのは偶然ではないと語った。
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トランプ大統領は、ニュースメディアをあからさまに見下してきた。大統領に就任してから1カ月も経たないうちに、メディアのことを「アメリカ国民の敵」と呼んだ。
しかしニュースメディアは、トランプ政権をめぐるスクープやニュース速報を日々、ひっきりなしに報じ、ホワイトハウスで何が起きているのかに関する内部情報を読者や視聴者に提供し続けている。
トランプ大統領が糾弾したニュースメディアの1つ、ニューヨーク・タイムズの編集長ディーン・バケット(Dean Baquet)氏は、内部情報のリークが相次いでいるのは偶然ではないと語った。
バケット氏は5月30日夜(現地時間)、ロサンゼルスで開催されたIT&メディア系の会議「Code Conference」に登壇し、トランプ政権はリークを生む2つのエンジンを作動させてしまったと述べた。その2つとは、政府機関の権力層と、ホワイトハウス内部の関係者だ。
「現政権は、政府機関で働く人たちを混乱させるようなことをしている」と同氏は述べた。政府機関の職員たちは、政権がやっていること、あるいはやっていないことについて怒ったり、がっかりしたりしているので、内部情報をリークしやすい。
だが、それだけではない。
分裂するホワイトハウス
「ホワイトハウスは混乱している。トランプ大統領はおそらく、就任前に自らの見解をはっきり固めていなかったのだろう。2〜3の派閥が大統領に話を聞いてもらおうと競い合っている」
「スティーブ・バノン首席戦略補佐官の派閥と、ジャレッド・クシュナー上級顧問の派閥が存在するのは事実だ。我々はこれまでにないワシントン情勢を目の当たりにしている。ホワイトハウスにおけるドラマや戦い、政府に対する前例のない調査を目の当たりにしているのだ」
ニューヨーク・タイムズは現政権を取材するために、担当記者をそれまでの2倍の6人に増員した。
また記者たちは、トランプ大統領のツイートをニュースとして報道することに何の疑問も抱いていない。
「我々はツイートを報道しなければならない。ツイートは、深夜であろうと、早朝であろうと、大統領の考えにほかならない」
ただしニューヨーク・タイムズは、大統領のツイートについて、事実確認を必ず行っている。
「我々の事実確認チームは、大統領がツイートするとすぐにその内容をチェックしている。そしてチェックした内容を報じ、ツイートに関する事実を社会に伝えている。事実確認は欠かせない」
[原文:New York Times editor: There are 2 reasons the Trump administration has so many leaks]
(翻訳:遠藤康子/ガリレオ)