アマゾンのエンジニアが自腹で元本5万ドル —— 「ソーシャル投票の株式投資ゲーム」スタート

5月30日(現地時間)、アマゾンのゲーム実況サイトTwitchで、「Stock Stream(以下ストックストリーム)」という新しいゲームの配信が始まった。ストックストリームはその名の通り、リアルタイムで現実の株の売買を行うユーザー参加型のゲームだ。

この配信は、2014年に100万人以上のTwitch視聴者が操作を共有しながら、任天堂の名作、初代ポケモンをプレイした「Twitch視聴者全員でポケモンをやってみた(Twitch Plays Pokemon)」を連想させる。

しかし、今回は単なるお遊びではない。今回、視聴者たちは、5万ドル(約554 万円)を元手に、投票によって現実の株式市場に投資する。ストックストリームの生みの親であり、シアトル在住のアマゾンのエンジニアでもあるマイク・ロバーツ(Mike Roberts)氏が身銭を切って、その資金を提供した。5月30日時点で、既に6万人がプレイ、もしくはこの奇抜な取り組みを視聴しに来ている。

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Screenshot/Twitch

ロバーツ氏によると、ストックストリームのようなアイデアはネット上ではかなり前から存在する。例えば、ソーシャルメディアRedditのユーザーの中には、匿名のコメント投稿者たちの投票で、次に買う株を決めているユーザーもいるようだ。ロバーツ氏は、そのようなアイデアに特化したシステムを6カ月かけて開発し、ストックストリームの配信を開始した。

「初日を乗り越えた感想としては、(このゲームに対して)開始前よりもうまく行くという気持ちが強くなった」とロバーツ氏は語った。

ストックストリームの仕組みはとてもシンプルだ。5分ごとに投票ラウンドが始まるので、Twitch視聴者はそのタイミングでどれでも好きな株の売買を投票することができる。例えば、「!buy AAPL(アップル買い)」もしくは「!sell TSLA(テスラ売り)」といったように、売買コマンドの後にティッカーを入力してコメントすると投票できる仕組みだ。そして5分後に、最も票を集めた売買指示が株取引アプリRobinhoodを通して実行される。

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ストックストリームを陰で支える株取引アプリRobinhood

Robinhood

プレイヤーたちは、投票した株のパフォーマンスを基にスコアがつく。アップル買いの投票をし、取引成立直後に株価が上がればスコアは上がり、反対に株価が下がればスコアも落ちる。基本ルールはこんなところだ。しかし、現在の採点システムは分かりづらく、プレイヤーたちを混乱させているので、何かしらのルール改善はするだろうとロバーツ氏は述べた。

また、最高スコアを持つプレイヤーに景品や払い戻しがあるというわけではない。ただ単純に、クラウドソーシング型の金融実験に参加する楽しさがあるだけだ。

人々の知恵を集結させた結果、ロバーツ氏のポートフォリオは今のところ、とんとんだ。1日目を終えた時点で、取引口座内の現金残高と株式評価額は合わせて5万55ドル92セント、そのうち現金残高は約2万6000ドルだった。

勝つか負けるか

ロバート氏は、いわゆる「荒らし」が意図的に彼のポートフォリオをめちゃくちゃにして、資金を食いつぶし、彼が構想したエキサイティングな社会実験を台無しにしてしまうことを当初は懸念していたそうだ。しかし、そんな心配をよそに、Cheesecake FactoryやPapa John’sといった妙な投資対象はあったものの、視聴者たちは妥当で分散されたポートフォリオを作りあげてくれた。AMD、テスラやアップルなどの今注目を集めるテック系企業もポートフォリオに含まれている。

ストックストリームの視聴者たちはロバーツ氏に寄付することもできるが、初日に寄付者は現れなかった。ロバーツ氏もさほど期待はしていなかった。一方、ストックストリームに貼られている紹介リンク経由でRobinhoodにサインアップする視聴者は一定数いた。紹介リンク経由でサインアップしたユーザーがRobinhoodで初めて株式取引をする時、紹介者はランダムな株を1つ無料でもらえるので、悪くない話だ。しかし、そんな例外を除けば、今のところプレイされている資本のほぼ100%はロバーツ氏のお金だ。

Twitch視聴者全員でポケモンをやってみた

ストックストリームをインスパイアした「Twitch視聴者全員でポケモンをやってみた(Twitch Plays Pokemon)」

Twitch Plays Pokemon

ロバーツ氏は、ストックストリームに勝利条件を設定することはあまり検討していないと語った。「元本を二倍にしろ」といったストレートなゴールを設定することは、不純で参加者のやる気をそいでしまうだろうと同氏は感じている。どうやら、同氏はただ純粋に好きでやっているようだ。

しかし、残念なことに、敗北条件は存在する。ストックストリームはデイトレードに分類されるので、米国の金融業規制機構FINRAの規制により、取引口座残高(現金残高と株式評価額の合計)が2万5000ドルを下回らないようにしなくてはならない。もし、そのラインを下回ってしまうと、その口座は追加で取引が出来ないように凍結されてしまう。つまり、ゲームオーバーだ。5月30日時点での取引口座残高は凍結されてしまう金額の2倍あるが、このゲームには金銭的な危険要素が常につきまとうことをロバーツ氏は認めている。

「もし明日、ポートフォリオ内の株の多くが値を下げたら、このゲームの雲行きは一気に怪しくなるだろう」

[原文:An Amazon engineer is letting thousands of Twitch users play the stock market with $50,000 of his own money

(翻訳:Yuta Machida)

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