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2007年に端を発し、リーマンショックによって火の粉が世界中に拡散した金融危機から、すでに10年が経過した。しかし、アメリカのミレニアル世代は、いまだに当時の記憶におびえているという。
18〜34歳までの年齢層で見られる、投資や貯蓄への態度は、彼らが実際に投資を始める以前に、金融危機の影響によって形成されたという。
Legg Mason Globalによる最近の集計では、ミレニアル世代のうち82%が、彼らの投資決定は金融危機とリーマンショックの記憶に、影響を受けていると答えた。一方、上の世代に対する金融危機の影響は比較的少なく、当時の経験を意識した投資決定を行っていると回答したのは、ベビーブーマー世代(アメリカで1946〜64年の間に生まれた世代)では13%、65歳以上の高齢者層では14%しかいなかった。
Legg Mason Globalの副社長で、事業開拓部門を統括するトム・フープス(Tom Hoops)氏は「親や、祖父母らが経験した痛みが、彼ら(ミレニアル世代)に忘れ難い悪印象を残し、彼らが市場に参加し始めたことで、その印象が(市場に)反映されつつある」と述べた。
投資に対する保守的な傾向は、ミレニアル世代のアドバンテージの一つである「若さ」の浪費だという。次の危機が起こった場合、リスキーな投資を避けることで、彼らは比較的安全に危機に対処できるかもしれないが、定年後の貯蓄総額は減少するだろう。
しかし、ミレニアル世代が完全に希望を捨てたわけではない。ミレニアル世代のうち、78%が今後数年間で資産構成のうち、リスクの割合を増やしたいと回答しており、68%が株式投資に前向きだった。一方、ジェネレーションX世代(1960年代初め、または半ばから1970年代に生まれた世代)で、さらなるリスクを取りたいと考えている投資家は27%にとどまっている。
NvidiaやSnapchatなど、ミレニアル世代に人気の銘柄の中には、 ヘッジファンドの評価が低い企業も含まれている。
ミレニアル世代の多くが金融危機以後、投資に消極的であったことについて「後悔している」と答えていることからも、彼らの投資の習慣は変わっていくだろう。そして、彼らが最も後悔していることは、財務の専門家に助言を求めてこなかったことだという。
ミレニアル世代にとって最も変えることが難しいのは、投資への姿勢ではなく、貯蓄の習慣化かもしれない。ミレニアル世代の多くが「今日を生きている」と話し、36%が明日のことは考えていないと回答している。
(原文:Millennials are still spooked by the 2008 financial crisis)
[翻訳:忍足亜輝]