J.クルーCEOが退任 —— 不況期の高価格ライン展開を反省

jcrew

J.クルーのCEOミッキー・ドレクスラー氏は、1つの大きなミスが長年の業績悪化を招いたと話した。

Mike Mozart/Flickr

ニューヨークのアパレルブランドJ.クルー(J. Crew)は5日(現地時間)、CEO兼会長のミッキー・ドレクスラー(Mickey Drexler)氏が、CEOを退任すると発表した。同氏は同職を14年務めた。

後任には、家具メーカーのウエスト・エルム(West Elm)CEOのジム・ブレット(Jim Brett)氏が就任予定。ドレクスラー氏は今後も、会長として会社に残る。

同社では4月にも、長年クリエーティブ・ディレクターを務めたジェナ・ライオンズ(Jenna Lyons)氏が退任したばかりだ。

J.クルーの業績は長らく低迷している。

昨年の売上高は前年比6%減の20億ドル(約2210億円)。既存店売上高も一昨年の10%減に続き8%減となった。20億ドル以上の負債を抱え、現金資産は1億5000万ドル(約165億7600万円)未満と見られる。

最近のウォール・ストリート・ジャーナルによるインタビューでドレクスラー氏は、顧客がますます価格にシビアになっている時代に反対の行動をとったことが、過去数年で最大のミスだと振り返った。

「我々は、カタログやオンラインなどで、実際よりも高価格ブランドとのイメージを与えていた」と同氏。

2008年の大不況の真っただ中、J.クルーはハイエンドライン「J.クルー・コレクション」を発表した。

当時トップ・デザイナーだったライオンズ氏が指揮を執ったJ.クルー・コレクションは、ニューヨークのマディソン街の店舗でデビュー。3000ドル(約33万円)のジャケットは雑誌『Portfolio』(現在は廃刊)に、「シルクのシフォンにべっこう色のグラデーションが美しいフランス製のスパンコールが一つ一つ丁寧に縫い付けられている」と紹介された。

その価格設定は、不況のあおりを受け経済的に余裕のない顧客を、ファストファッションに流出させる結果となった。

「我々は、若干エリート気取りが過ぎたようだ」とドレクスラー氏はウォール・ストリート・ジャーナルに語った。

ワンピース:1250ドル→399.99ドル、クーポンでさらに半額

ワンピース:1250ドル→399.99ドル、クーポンでさらに半額

J. Crew

クリスマス商戦の12月、J.クルーは、コレクション商品の一部を最大70%引きでたたき売りした。オンラインストアでは現在もコレクション商品の値下げ販売を行っており、その多くが200ドル(約2万2000円)以下となっている。

同社の損失についてドレクスラー氏は、ファッションの方向性の間違いもあると自己分析した。

J.クルーは今、低価格商品に力を入れ、近づきやすいブランドになろうとしている。

「より心地よく、庶民的で親しみやすいという我々本来の姿を取り戻しつつある」とドレクスラー氏はウォール・ストリート・ジャーナルに語った。

[原文:J.Crew CEO out after 14 years — here's where he says the company went wrong

(翻訳:Ito Yasuko)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中