サウジアラビアのサルマン国王とカタールのタミーム首長(2015年11月)
Reuters/Faisal Al Nasser
原油価格がトランプ大統領のパリ協定離脱のニュースを受けて下落傾向になっていたところに、さらに拍車をかける事態が起きた。
6月5日(現地時間)、OPEC加盟国のサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプトが、カタールと国交を断絶した。
これを受け、アメリカの原油価格の指標であるWTI(West Texas Intermediate)は、5日朝の時点で、1%に迫る勢いで下落。ブレント原油価格も0.68%下がった。
カタールとの国交断絶について、サウジアラビア高官は「過去何年にもわたって、カタール当局が行ってきた違反行為」への対抗措置だと述べたとAFPが報じている。
国交断交の2週間ほど前には、トランプ大統領が中東を訪問。大統領が同地域を離れた後、カタールの国営ニュースメディアは、トランプ大統領の対イラン政策を批判するカタールのタミーム首長の発言を報じ、イランを「イスラムの力」と呼んで称賛した。
こうした報道を受け、イランの核開発にその大半が反対している近隣諸国は、中東地域への影響を懸念、一斉に非難の声をあげた。カタールは、問題となっている発言部分は、ニュースメディアがハッキングにあったためだと主張している。
アメリカのティラーソン国務長官は、中東諸国への外交的支援のための声明を発表し、「融和の維持」の重要性を説いた。
Markets Insider
[原文:Oil is sliding after several OPEC countries cut ties with Qatar]
(翻訳:原口 昇平)