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「ダークウェブ」は、インターネットの片隅にある隠された世界で、ドラッグ、偽造品、盗難物などのような闇物資の宝庫になっている。
その中にはとても奇妙なものがある。
Redditで「ディープウェブの体験談を教えて」というシンプルな質問が投稿された(英語です)ことがある。匿名で秘密のサイトにアクセスしている時に遭遇した奇妙なエピソードを共有しようというスレッドだ。
Tor(*)のような、“匿名サービス”を使用すると、ダークウェブ(もしくはディープウェブ)としてよく知られるウェブサイトにアクセスできるようになる(Google Chromeのような通常のWebブラウザでは、ダークウェブのサイトにはアクセスできない)。
*「Tor」(トーア、英語: The Onion Router):TCP/IPにおける接続経路の匿名化を実現するための規格、及びそのリファレンス実装であるソフトウェアの名称であり、P2P技術を利用したSOCKSプロキシとして動作する(ウィキペディア)。
「シルクロード(Silk Road)」は典型的なダークウェブのサイトである。現在は閉鎖されているが、以前はブラックマーケットとして使われていた。悪名高い創設者(英語です)は現在、刑務所に収監されている。シルクロードは閉鎖したが、ダークウェブは他にもある。
以下は、ダークウェブに潜り込んだ人々が実際に体験した奇妙で不気味なエピソードである。
*この記事はケール・ガスリー・ワイズマンの投稿を基にしている。
どんなものが買える?
Thomson Reuters
ダークウェブを使う主な理由は、人にバレたくないものを買うこと。実際、どれくらい奇妙なものが手に入れられるのだろうか? 何人かの人がその異様な体験を教えてくれた。
「DIY 外科医」……
Rafi Letzter/Business Insider
ダークウェブには日用品も売っている。何が「違法」なのだろうか。問題は売りに出す方法にある。「シルクロード」で売りに出されていたこれ(マジで気持ち悪い)(英語です)を見てみよう。
「『シルクロード』にDIY(Do It Yourself:自分で行うこと)精管切除キットがあった。変な形の歯科器具のキットで、フックみたいなのと、チューブみたいなのが入っていた。20ドルだった」
「魔法のクスリ」
Walt Disney Pictures / YouTube
ある人がダークウェブで「魔法のクスリ」を発見した。以下がその時の説明(英語です)だ。
「錠剤を飲んで願い事をすればそれが叶うらしいんだ。売り手がそれを本物だと見せかけて売ろうとする努力に笑っちゃったよ。偽の天然由来成分をでっち上げたり、『魔法のクスリができるまで』なんていう(ほとんどブルーライトがスクリーンに向けて光ってるだけの)ビデオを公開したりしてた。薬は100ドルで売られてたけど、マジで購入したマヌケが何人かいたよ」
ツノ丸ごと
Dan Kitwood/Getty Images
どうしても必要なのだが、他に買える場所がない――。もし、あながそういうケースに陥ったなら、くれぐれもぼったくりには用心した方がいい。あるRedditユーザーはこう説明する。(英語です)
「数年前、話のネタに『サイのツノ』を探してたんだ。ある男がツノを丸ごと何本か持っていて、数十万ドルで売ると言ってきたけど……、さすがに遠慮したよ」
「2万ドルの殺し屋」
PlayStation
驚きの体験
Shutterstock/mmphotographie.de
ダークウェブは常に“驚きの連続”だ。時には、類まれなユーモアセンスを持った売り手に出会える。
刑務所サバイバルガイド
Netflix
「1000ページをゆうに超える興味深いPDFが売られていた。以前、囚人だった人が作者で、刑務所で生き延びる方法や刑務所内外でのドラッグ入手方法、ギャングなどについて書かれていた」
偽の学位とパスポート
ハーバード大学医学大学院
Németh Dezső / Wikimedia Commons
ダークウェブでは、「パスポート」から「学位」「NeflixやHuluにログインするためのアカウント」など多岐にわたる偽の証明書や認証情報などが購入できる。
あるRedditユーザはこう語る。
「偽の医学博士号を見つけた。999ビットコインで買おうかと。5万ドル以上するけど」
身元偽装専門のウェブサイトも存在する
DreamWorks
「わたしが見つけた中で一番面白かったのは、完全に身元を変えるのを手伝ってくれるウェブサイトだ。
例えば、6000ドルから1万ドルで、アメリカ合衆国のID、パスポート、運転免許証、そして必要書類の処理なども全部やってくれて、自分が望む名前でアメリカに移住することができる。わたしにとってはかなり安い金額だよ。8000ドルぐらいで新しい個人情報を手に入れられて、新しい国で新しい生活をスタートできるんだ。家を売って、新しい個人情報の取得に8000ドル使って、アメリカへ移住して、残りのお金でアパートを買って、新しい人生をスタートさせることが全部一気にできてしまうんだ」
シンプルなものも忘れないで
Wikimedia/Jonathan M
ダークウェブには、ネットで買う(英語です)必要があるのかどうかさえ、わからないようなものも時々売っている。例えば、ニンジンやプレッツェルなどだ。
「プレッツェルを売ってるドイツ人がいたんだ。ねえ、プレッツェルだけだよ」
時には奇妙なことも起こる
Rachel Adams
「Tor」を使えばネット上で個人情報を隠せるというが、そうでないケースに遭遇した人たちもいる。以下はその例だ。
「鋭いですね……」
Andrew Burton/Getty Images
「Tor」を使っていようと、追跡される可能性はある。あるRedditユーザーはこう語る(英語です)。
「あるビデオにコメントして、あとでそのビデオを見るためにページに戻ったんだ。そうしたら、誰かがコメント欄に『鋭いですね、(ここにわたしの名字が入る)さん』と書き込んでいたんだ。
1週間ほどネットはしなかったよ。わたしの名字は一般的じゃないんだ」
「我々にはきみが見えている」
"The Matrix"
あるRedditユーザーが、グーグルが誕生する前のインターネットでの体験を語った(英語です)。彼(彼女)はあるサイトのオンライン上の痕跡を追っていたが、ある日、彼(彼女)のためだけに作られたドキュメントを発見した。「我々にはきみが見えている」とのメッセージが残されていた。
この話は、彼(彼女)が「様々な人たちによるいろんな考え」というページにアクセスしたことから始まる。彼(彼女)は情報源を調べ、すべてのコメントのIPアドレスを収集し、“何”がこのサイトに人を集めたのかを突き止めようとした。
すると、ある日、不気味なことに遭遇した。
「わたしはついに、HTMLファイルとTIFF画像を大量に含むディレクトリのWebサーバを見つけた。同じようなファイルを含むいくつかのサブディレクトリもあった。nslookupコマンドを入れても、DNSレコードは表示されなかった。VisualRouteを使ってサーバーの位置を追跡したが、コロラドまでしか辿り着けなかった。HTMLファイルには、心理学者や精神科医のような人たちの痕跡が見えた。軍隊や医療関係者の気配もうかがえた。
サブディレクトリから親ディレクトリに戻ってサイトを閲覧していると、一番上に「1-.HELLO-THERE.html」(HELLO-THEREは「やあ、どうも」の意)とか、なんとかいう新しいHTMLファイルがあった。タイムスタンプはたった今のものだった。それを開くと、「我々にはきみが見えている」と書かれたテキストファイルを見つけた。引用なし。すべて小文字。約15秒後に、サーバーが落ちた」
ダークウェブは怖そうに見えるかもしれないが、時には無害でもある
Flickr / Matt Baume
ドラッグや違法の話ばかり耳にするが、ダークウェブはバカみたいな目的に使われることもある。
スカベンジャーハント(ゴミ拾いゲーム)
Daniel Goodman / Business Insider
ある人が「Alternate Reality ゲーム」と呼ばれるゲームをプレイした。この「No Love Deep Web」というゲームは、ユーザーを「Tor」にアクセスさせ、様々なものを探し出させるというものだった。
あるユーザーがゲームに熱中した。最後はこういう結末だった(英語です)。
「車でニューヨークに行き、夜中の3時に公衆電話にかかってくる電話に出た。最高だったよ」
Jack Taylor/Getty Images
「次の停車駅は……」
時々、奇妙なフォーラムを発見することがある。このユーザーの例(英語です)を見てみよう。
「以前、『“次の駅を伝える録音”(駅でよく耳にする自動メッセージ)をシェアする』というフォーラムを見つけたんだ。自分で作成した録音を投稿し、それについて討論する場所だったんだね。……今でも頭から離れないよ」
[原文:The weird and spooky stories told by people who explored the internet's hidden websites]
(翻訳:Wizr)