テック系CEOが注目する次世代教育「パーソナライズ学習」とは

Netflix CEO

Kevork Djansezian/Getty Images

リード・ヘイスティングス(Reed Hastings)氏は、ユーザーごとにパーソナライズされたお勧めを紹介してくれるストリーミング動画配信サービス、ネットフリックス(Netflix)のCEOとして有名だ。

しかし、ヘイスティングス氏のパーソナライズ化への興味は動画の分野だけでなく、「教育」にも及ぶ。

ヘイスティングス氏は2011年、ベンチャーキャピタリストのジョン・ドーア(John Doerr)氏と手を組み、数学教育スタートアップのドリームボックス・ラーニング(DreamBox Learning)に1100万ドル(約12億1000万円)を出資した。2006年に創業したこのスタートアップは、小・中学校教育を補完するような教育プログラムを子どもたちに提供する。プログラムは、レッスン、ゲーム、アニメーションで構成され、ユーザーの理解度に適した内容が随時選択され、表示される仕組みとなっている。

ニューヨーク・タイムズによると、現在200万人以上の子どもたちが同社のソフトウエアを利用している。

ドリームボックスは、最先端テクノロジーを活用する教育プラットフォームの中で成長中の1社。グーグルやFacebookが、コラボレーション(共同作業)や個別学習のためのソフトウエアで全米の学校に進出している今、教育のあり方は変わりつつある。

教師が教壇に立ち、そこから数十人もの生徒たちに向かって教える。それが従来の教育だっただろう。しかし、現代の生徒たちは、自身のニーズに対応したデバイスを用いて、自力でどんどん学習していく。

ドリームボックスは生徒たちの正答率や答えるまでにかかった時間などの生徒のパフォーマンスだけでなく、正答にたどり着くまでにどれだけのヒントが必要だったかなどのデータを収集している。そして収集したデータを基に、同社のプログラムは問題難易度と解説スタイルを調整する。

同社のシステムは1人の生徒から1時間に5万以上のデータポイントを収集する。

ハイテクを駆使した教室が必ず良い結果を生むわけではないと研究は示している。 確かに、読み書き能力を上げる為のアプリNewselaのようなサービスを用いて読解力を向上させようとした結果、わずかな効果があったというケースはある。しかし、費用に見合った効果があることを示す長期的なデータはない。

一方で、ドリームボックスの効果はいくつかの研究結果に支持されている。2016年のハーバード大学の研究によると、ドリームボックスのソフトウエアを導入した学校では、生徒のアプリ利用時間はまちまちで、多くの場合、同社の推奨利用時間に達していなかった。しかし、利用時間が長かった生徒ほど、数学の習熟度に上昇が見られた。

教育のパーソナライズ化に価値を見出しているのは、NetflixのCEOだけではない。

マイクロソフトの共同創設者ビル・ゲイツ氏とFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は、シアトルに拠点を置く学校グループ、サミット・パブリック・スクールズ(Summit Public Schools )を評価する。同グループに属する学校では、パーソナライズされた、生徒主導のカリキュラムが提供されている。

ゲイツ氏はパーソナライズされた教育に期待をかける根拠として、1つの研究を挙げている。この研究は、生徒が学習の方向性を主導し、教師はどちらかいうとメンターとして支える手法を取る62校では、多くの生徒が数学と読解力で、従来の学習方法をとっている生徒より高い得点を得たことを明らかにした。また、入学前は全米平均より低い点を得ていた生徒の多くが、入学2年後には平均点を上回るようになった。

ゲイツ氏は、「これらの学校は他にも素晴らしい取り組みを実施しているので、この結果がどこまでパーソナライズされた学習のおかげかはまだ分からない」と昨年8月に自身のブログに記している。

先述のドリームボックスの効果についての研究も似たような課題を抱えているが、いずれにせよ、ドリームボックスの200万人規模のユーザー基盤は更に成長し続けている。

[原文:Netflix's CEO backs a math education program that works like the streaming service

(翻訳:Yuta Machida)

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