調査は当分続く。金融マーケットにとって悪い知らせだ。
Scott Olson/Getty Images
アメリカ上院情報委員会でのFBI前長官ジェームズ・コミー氏の証言から、多数の問題点が浮かび上がってきた。ロシアがアメリカ大統領選挙に与えた影響、トランプ陣営との共謀の有無に関する調査は、当分続くことがはっきりした。
これは、アメリカ金融市場にとって悪い知らせだ。
調査会社Compass Pointのアイザック・ボルタンスキー(Isaac Boltansky)氏は、コミー氏の証言によって問題がすぐには解決しないことが明らかになり、銀行の規制緩和や大幅な減税など、金融街に有利な改革は遅れることになるだろうとBusiness Insiderに語った。
「公聴会の流れは予想通りだった。マーケットには今のところ影響は見られない。ただ、市場の見方としては、議会がこの問題で持ち切りになり始めていることで、共和党の経済成長政策への逆風となることを懸念している」と同氏はコミー氏の証言後に述べた。
Cowen Washington Research Groupのクリス・クルーガー(Chris Krueger)氏も、証言によって新しい情報が明らかになったわけではなく、調査の方向性が大きく変わることもないが、法案審議が滞るとの見方に同意した。
「何もかも遅れる。議会で進められるのは一連の調査だけだ」
さらにクルーガー氏は、金融マーケットが期待している税制改革は、調査とは「別の路線」で進んでいたが、コミー氏の証言など同様のイベントにより、「そのスピードは遅くなるだろう」と語った。
投資家たちは税制の見直しを待ち望んでいた。減税は、企業のコスト削減を進め、利益増と株価上昇につながる可能性があるからだ。
「まだ実現する見込みはある。だが議会は、まず医療保険制度と2018年度予算を片付けて、政府機関の閉鎖や債務不履行を回避しなければならない。その後、ようやく税制改革の審議ができる」とクルーガー氏は述べた。
[原文:Wall Street just got some terrible news from the Comey testimony]
(翻訳:原口 昇平)