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スペースX、大型ロケット「Falcon Heavy」の初打ち上げを3カ月以内に予定

Falcon Heavyの打ち上げイメージ

CGによる、Falcon Heavyの打ち上げイメージ。

SpaceX/YouTube

イーロン・マスク氏は、スペースX(Space X)が自社最大となるロケットを打ち上げると発表した。

計画通りに進めば、「Falcon Heavy(ファルコン・ヘビー)」と名付けられた新型ロケットの初めての打ち上げは、数カ月後には実現することとなる。

全長230フィート(約70メートル)の新型ロケットのパワーは、従来のFalcon 9ロケットの3機分。合計27基のロケットエンジンが生み出す推力は、500万ポンド(約2268トン)以上だ。

これは11万9000ポンド(約5万4000キロ) —— 例えば貨物を満杯にしたボーイング737を、軌道に乗せるのに十分な能力だ。新型ロケットはまた、小型の宇宙船、乗員2人、その他の機材を月に送ることもできる。NASAの月ロケット「サターンV型」の最大積載量の3分の1に匹敵する。

この性能であれば、マスク氏が2018年末までの実現を目指す、個人向けの月周回飛行も可能だ。

マスク氏は6月8日、ツイッターで投げかけられた、新型ロケット「Falcon Heavy」のシステムと打ち上げ時期に関する質問に対して、これまでで最も詳細な回答を行った。

マスクさん、Falcon Heavyの打ち上げ予定を教えてください。


Falcon Heavyは、2、3カ月以内にケープ・カナベラルに運び込まれる予定。それから1カ月後には打ち上げが行えるだろう。

しかし、打ち上げが予定通りに行われるかどうかについては、懐疑的な見方もある。マスク氏は予定を遅延させたり、計画の困難さを過小評価することで知られている。

例えば、Falcon Heavyの打ち上げは本来、今年の3月に予定されていた。しかし昨年9月、打ち上げ時に爆発事故が起き、4カ月間の事故調査と一時的な打ち上げ中止により、Falcon Heavyの初の打ち上げは、2017年の第3四半期までずれ込むこととなった。

とはいえ、スペースXが今回の打ち上げに成功すれば「宇宙飛行にとって大きな前進」以上のものになる。

再利用可能な巨大ロケット

両サイドのロケットが分離する場面の予想図。

両サイドのロケットが分離する場面の予想図。

SpaceX/YouTube

Falcon Heavyの打ち上げでは、過去の打ち上げに使われ、回収された2機のFalcon 9ロケットのブースターを、新たに製造したFalcon 9ロケットの両サイドに配置する。

打ち上げ後、両サイドの2機のロケットは切り離され、フロリダのケープ・カナベラル空軍基地に着陸する。そして次の打ち上げに備えて再整備される予定だ。

中央のロケットは、その後、しばらく飛行を続けた後に分離、その力によって人工衛星などのペイロードを軌道に乗せる。切り離されたロケットは、地球に向けて落下し、太平洋上のドローン船に着陸、再利用される。

過去、ロケット部品のほとんどは、再利用不可能な状態、つまりゴミとして地球に落下していた。マスク氏は、ロケットの再利用を行うことで、この「高くつく伝統」を変えようとしている。彼は莫大な打ち上げコストを100分の1、将来的には1000分の1まで削減することを目指している。

この計画が、いかに野心的なものかについて、最初に言及したのは、他でもないマスク氏だった。

「Falcon Heavyに積載されるのは、恐らくあまり重要でないものになるだろう。なぜなら、極めてハイリスクなミッションになるから」

今年3月、Falcon 9ロケットブースターを初めて再利用した、SES-10通信衛星の歴史的な打ち上げの後にマスク氏は述べている。

「あまり重要でないもの」がどういったものになるのか、マスク氏は言及しなかったが、同社は過去に、ホールサイズのチーズを周回軌道へ打ち上げたことがある。

source:SpaceX/YouTube

[原文:Elon Musk: SpaceX may launch its biggest and most powerful rocket in 3 months

(翻訳:忍足 亜輝)

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