デルが「New Inspironゲーミングデスクトップ」発表、ゲーミング分野を拡充

デルは9日、ゲーマー向けデスクトップPC「New Inspironゲーミングデスクトップ」とフレームレスデスクトップ「New Inspiron 27 7000フレームレスデスクトップ」「New Inspiron 24 5000フレームレスデスクトップ」の3製品を発表した。縮小が続く国内デスクトップPC市場。そんななか、新製品を投入するデルの2017年の戦略とは?

デスクトップPC市場は引き続き縮小傾向も、ゲーミングPC市場は拡大

PCゲーマー向け「New Inspironゲーミングデスクトップ」は、同社のハイエンドゲーマー向けPCブランド「ALIENWARE」(エイリアンウェア)に続くゲーミングPCで、ALIENWAREユーザーに比べると「プロまでのスキルはないが十分にゲームを楽しんでいる」(米デル コンシューマー&スモールビジネスプロダクトグループ 上級副社長&ジェネラルマネージャー Rey Wah氏)というユーザーをターゲットにしている。

New Inspironゲーミングデスクトップ

New Inspironゲーミングデスクトップ。

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米デル コンシューマー&スモールビジネスプロダクトグループ 上級副社長&ジェネラルマネージャー Rey Wah氏

CPUには、コストパフォーマンスと高性能を両立し注目が集まっているAMD Ryzenを採用する。スペックとしては、最上位に8コア16スレッドのRyzen 7 1700Xを搭載し、メモリ16GB、HDD 1TB+SSD 256GB、GeForce 1060といった高いスペックで15万9980円、エントリー機はAMD Ryzen 5 1400、8GBメモリ、1TB HDDで9万9800円(いずれも税抜)だ。

デスクトップPCは市場のシュリンクが叫ばれて久しいが、グローバルにおけるPCゲーム市場は世界で拡大を続けている。年間20億ドル規模の成長を遂げており、それにともなってゲーミングPCも急伸しているという。

デルの発表によれば、2016年は全世界のコンシューマPC市場全体で対前年比10%減と大きく縮小している中、デルは全体で1.9%増となり、PC市場で成長を維持しているという。e-Sports人気によってゲーマー人口が拡大していることを背景に「破竹の勢い」というゲーミングPCの拡大をうまく掴んだ形だ。

一方国内では、現時点ではPC市場全体が縮小している。頼みの綱のゲーミングPC市場がグローバルに比べて小さいためだ。デルのビジネス&コンシューマ事業統括本部長で常務執行役員の渡邊義成氏は、国内でもゲーミングPC市場が今後拡大するとみており、「ある段階で一気に伸びるのでは」と予測する。

デルとしては、ハイエンドでプレミアムクラスのゲーミングシリーズである従来の「ALIENWARE」ブランドに加え、新たに「Inspironゲーミングデスクトップ」ブランドでゲーミングPCを投入し、ゲーミング分野の追い風を十分に取り込みたい考えだ。

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Ryzenは高いパフォーマンスを実現している。インテルとしても、あぐらをかいてはいられない状況になりつつある。

このほか、ディスプレイ一体型PC「Inspiron 27 7000フレームレスデスクトップ」「同24 5000フレームレスデスクトップ」も新たに発表された。ディスプレイが狭額縁で画面サイズに対して本体サイズをコンパクトに仕上げたことが特徴だ。「フレームレス」という表現は、同社の人気モバイルノートPC「XPS」シリーズでも使われており、XPSシリーズと同様に「インフィニティディスプレイ」としてアピールする。スペックとしては、AMD RyzenプロセッサーやAMD Radeon RX500シリーズなどを搭載。シンプルでフラットなボディで、省スペースデスクトップPCとしての利用を狙う。

Inspiron 27 7000フレームレスデスクトップ

ディスプレイの額縁部分が薄い狭額縁デザインを採用する一体型デスクトップ「Inspiron 27 7000フレームレスデスクトップ」

Inspiron 24 5000フレームレスデスクトップ

同じくその普及モデルである「Inspiron 24 5000フレームレスデスクトップ」


VRに期待するPCメーカー

加えて、7月にはInspiron 27 7000にVRに対応した上位モデルも用意する。これは4KディスプレイやハイエンドのRadeon X580を搭載し、PC向けVRのOculusやHTC VIVEが快適に動作するパフォーマンスを実現したものだ。

PCメーカー各社にとって、VR市場への期待は高い。2020年までにVR市場のアクティブユーザーが全世界で2億1600人に達するという予測をWah氏は紹介した。これまで、PC向けのVRでは「最大限に楽しむにはPC側にも最大のパフォーマンスが必要」(同)だった。そのため、デスクトップPCとしても大型のボディになってしまい、設置スペースが大きくなってしまっていた。しかし、今回のInspiron 27 7000のような一体型PCであれば設置が省スペースで済むというメリットがある。

本体背面にあるUSBポートなどの配置は、VRでの利用を想定しているということで、VRで利用しやすいような配慮をしたという。InspironゲーミングデスクトップとVRの組み合わせについては、単に家庭向けとしてだけでなく、旅行代理店での利用など、省スペースを生かした法人用途も想定しているそうだ。

Wah氏は、まだVR向けPCがジャンルとして大きくはなっていないとしつつ、今後のデスクトップPC拡大につながると指摘。渡邊氏は、国内ではゲーミングPCと同様にVR向けPC市場はまだ小さいとの認識だが、これも同様にVRがデスクトップPC市場の拡大に寄与するとみており、拡大に力を入れたい考えだ。

(撮影:小山安博)


小山安博:Webニュース媒体の編集記者を経て、フリーランスのテクニカルライターとして活動中。専門はセキュリティ、デジカメ、携帯電話など。海外を含めた取材記事、レビュー記事を中心に執筆している。

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