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かつては最も権威あるビジネススクールの出身者だけを雇用するのが、ウォール街のトップ企業の慣行だった。しかし、今は違う。
ウォール街のデジタル化が金融のあり方を変革する中、企業は論理能力やSTEMスキル(科学・技術・工学・数学)を持ち合わせた人材を採用する傾向を強めている。
しかし、金融企業が求めているのはITスキルだけではない。
5兆4000億ドル(約600兆円)の運用資産と約1万3000人の従業員を抱える世界最大級のアメリカ資産運用会社ブラックロック(BlackRock)は、人文科学や社会科学を学ぶ大学生にも興味を示している。
ニューヨークで開催されたシンギュラリティ・ユニバーシティのExponential Finance(指数関数的金融)カンファレンスで、ブラックロックのチーフタレントオフィサーであるマシュー・ブレイットフェルダー(Matthew Breitfelder)氏は、同社がリベラルアーツ専攻の学生の採用を増やしていることを明らかにした。
「多様性はかつてないほど重要だ」
ブレイットフェルダー氏は、多様なスキルや世界観を持つ従業員が会社の成長に寄与するとの考え方を示した。同社がリベラルアーツ専攻の学生を何人採用したかについては言及しなかった。
ロボットがポートフォリオ作成や日常的な財務業務を担うようになり、資産管理会社の仕事は変化している。金融のプロたちはクライアント対応やソリューションの導出などに以前よりも多くの時間を割くようになった。
ブレイットフェルダー氏は、多種多様な視点と経歴を持つ人材を集めることは、金融機関が取り組む新しい問題の解決策を導き出す手段の1つになると考えている。
人事のプロで、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの修士号とハーバード・ビジネススクールのMBAを取得している同氏は、金融業界を志望する学生に、業界が大きく変わっていることをよく理解するよう助言した。
[原文:BLACKROCK TALENT HEAD: 'We are hiring more liberal arts majors']
(翻訳:Keitaro Imoto)