フレッド・デスティン(Fred Destin)氏は、ロボットやAIによる自動化が、ホワイトカラーの仕事を最大70%奪うと予想している。
Getty Images
すでにロボットは、工場での作業や単純労働を人の手から奪い始めている。果たして、ホワイトカラーの仕事も、ロボットやAIに奪われるのだろうか?
フレッド・デスティン(Fred Destin)氏は、ロボットやAIによる自動化が、ホワイトカラーの仕事を最大70%奪うと予想している。特に、法律事務所や保険会社の仕事が危ない。同氏はベンチャーキャピタル、アクセル(Accel)の元ゼネラルパートナー、現在、自身のファンドを立ち上げているところだ。
「自動化は、ホワイトカラーの仕事を恐るべきスピードと規模で奪っていくだろう」と、同氏はロンドンで開催されたカンファレンスで語った。
「社会を変貌させる、巨大な津波だ」
デスティン氏はアクセル在籍時に、フードデリバリーのスタートアップ「Deliveroo」に投資している。そして、自動化の実例として、DeliverooのCTOマイク・ヒュダック(Mike Hudak)氏の取り組みを紹介した。ヒュダック氏は、昨年末、FacebookからDeliverooに移籍した人物だ。
ヒュダック氏は、Deliverooの注文プロセスを効率化するために自動化に取り組んだ。同氏は、注文を受けてからドライバーが配達を完了するまでに、従業員が何回、注文を確認しているかに着目し、プロセスを自動化した。その結果、確認回数を98%減らし、従業員25人を別の業務に就けることに成功した。
デスティン氏はさらに、保険業や銀行業を例にあげ、自動化がホワイトカラーの仕事を奪う可能性を強調した。
「AIが大々的に使われるようになった時、何が起こるか、考えてみてほしい」
世界有数のコンサルティング会社、PwCが発表した数字は、デスティン氏の予想よりも控えめではあるが、自動化が人間の仕事を奪ういうデスティン氏の主張が概ね正しいことを表している。PwCによると、銀行および保険業の仕事の32%が現在、自動化のリスクに直面している。この数字は製造業の46%、廃棄物処理業の63%に比べると低いが、それ以外の業種と比較すると高い数字だ。
デスティン氏が伝えたいことは何だろうか? つまり、テック分野で働く者は、自身が引き起こす混乱により大きな責任を持たなければならない、ということだ。
「私たちは、一般人としてではなく、科学技術者として生きてきた。私たち科学技術者は、別世界に生きている。なぜなら我々は未来を理解できるからだ。一般人の目線で、物事を考え始めることが極めて重要だ。ほとんどの人たちは、今、何が起きているかを知る手がかりを持っていない。また未来に対応する手段も持っていない。そんな彼らのことを考える必要がある」
(翻訳:Yuta Machida)