GM
創造的破壊という言葉が、シリコンバレーの流行語となっている。バンクオブアメリカ・メリルリンチ(BAML)は、イノベーションとテクノロジーの影響力について考察した。
BAMLは報告書で、特にマーケット規模が6080億ドル(約67兆5000億円)の交通輸送セクターで、急速に発展中のシェアリング・エコノミーが創造的破壊をもたらそうとしていると指摘した。
「現在多くの先進国市場で、自動車の走行距離は頭打ちとなっている。高コスト、非効率な交通輸送セクターでは、創造的破壊の機が熟している」
自動車は平均95%の時間、使われずに停まっている。登録自動車数1億1200万台のアメリカで、この数字が意味するものは大きい。こうしたあまり使われていない自動車を活用し経済の一部に組み込むことで、Uber以上のことが実現する。
BAMLは次の4分野は創造的破壊を促すものとしてあげている。
- ライドシェアリング ― UberPOOLやZimride など
- カーシェアリング ― Zipcarや car2go など
- P2P(Peer-to-Peerシェアリング「仲間同士の間のシェア」) ― Getaroundやdrivyなど
- 自転車シェアリング ― ニューヨークのCiti Bike
自転車は自動車通勤とは関係ないように見えるかもしれないが、車での移動の40%は2マイル(3.2キロメートル)未満だ(自転車なら約20分)。また自転車は、駅やバス停から自宅や職場までの「最後の距離」を埋める移動手段になりうる。
様々な移動手段を柔軟性と距離の両面から比較したチャート
Bank of America Merrill Lynch
もちろん、既存業界の企業は迎え撃つ準備をしている。ジャガー・ランドローバーはLyftに2500万ドル(約27億7000万円)を出資。GMも自動運転車のスタートアップ企業に5億8100万ドル(約645億2000万円)を出資した。これらはほんの数例に過ぎない。
BAMLは、「自動車メーカーとテック企業は、配車サービス分野最大の投資者であり、駆動力だ。ある企業にとっては、これはモビリティサービスに創造的破壊が起こることを想定したリスクヘッジだし、別の企業にとっては自分たちの専門分野の戦略的活用である」としている。
source: GM、 Bank of America Merrill Lynch
[原文:BANK OF AMERICA: We've reached 'peak car']
(翻訳:原口 昇平)