ミレニアル世代の投資へのアプローチは、彼らの親世代やその親世代とはかなり違う。
Brendan McDermid/Reuters
最新の調査によると、ミレニアル投資家の投資へのアプローチは、彼らの親世代や祖父母世代とは大きく違う。
ミレニアル世代(現在21~36歳の年齢層)の多くは、成長期に2008年のリーマン・ショックとそれを引き金に拡大した金融危機を迎えた。彼らの記憶には、株のような伝統的資産の価値が暴落し、退職貯蓄が消失する光景が刻まれている。
バンク・オブ・アメリカのプライベートバンキング部門USトラストは、投資可能資産300万ドル(約3億3000万円)以上の富裕層800人超を対象に調査を行った。USトラストで首席投資ストラテジスト(chief investment strategist)を務めるジョセフ・クインラン(Joseph Quinlan)氏はミレニアル世代の傾向として、「債券や株などペーパーアセット全般に対して不信感があるとは言えない」と語った。ミレニアル世代は単純に、仕組債、ベンチャーキャピタル、プライベート・エクイティなどの「ひねりがある」資産に興味が向いているだけだと調査は示した。
「その他の資産」をより好むことは、ミレニアル世代のリスク選好度の高さを反映している。また、USトラストが調査したところ、10人に7人が、長期的なキャピタルゲインよりも負債の返済など短期的な金銭的ゴールのためのインカムゲインを重要視していると語った。
ミレニアル世代は上の世代よりも、金銭的なリターンを生むだけでなく、環境や社会を改善することが期待される会社へ投資する社会的インパクト投資(impact investing)に関心を持っている。ミレニアル世代が社会的インパクトとリターンの両方にフォーカスを置いていることに対してクインラン氏は「彼らはリターンだけでなく、社会のためになる投資を望んでいる」とコメントした。
世代別の投資傾向を示した表
US Trust
女性の権利や地球温暖化などの社会問題への世界の関心が高まり、ジェンダー・ダイバーシティを取り入れている企業の方が、市場で優れた業績を上げるだけでなく、ボラティリティが低いと示している実証研究もある中で、このような傾向が生じている。
ミレニアル世代が株式のような伝統的な投資を避けているというわけではない。ベビーブーマー世代(USトラストでは53~72歳と定義)ほどは乗り気ではないということだ。
米国株が強気相場に入って8年経ち、S&P総合500種指数 は3倍以上となった。ベビーブーマー世代はこの強気相場に乗り遅れ、取り損ねた分のリターンを今取り返そうとしているのかもしれないと調査は示唆した。
しかし、ベビーブーマー世代は取り損ねることの恐怖から、必要以上にリスクを取っているのかもしれない。その危険性を前回の金融危機で目の当たりしたのにもかかわらずだ。
「私たちは皆、退職が近づいてきたら株式投資の比重を減らし、債券や現金に資産を再配分するように教育されてきた」とクインラン氏は語る。しかし、債券利回りがほぼ過去最低の今、「私たちは、そうしようとは全く思わない」
37~52歳で構成されるX世代は「より実物的な資産を所有していたいという心理がある。目に見える、より有形な何かを」(クインラン氏)。代表例としては、農地、森林や天然ガス・オイル採掘地などが挙げられる。
無形資産の中で恐らく最も人気のビットコインについて、クインラン氏は真剣な投資対象というよりは好奇の対象となっているとの見解を示した。
[原文:Super-rich millennials are defying the way their parents have been investing for decades]
(翻訳:Yuta Machida)