アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏
Brendan McDermid/Reuters
アマゾンは16日(現地時間)、 高級食品スーパーのホールフーズ・マーケットを137億ドル(約1兆5200億円)で買収すると発表した。
これはアマゾンにとって、過去最高額の買収案件となる。ジェフ・ベゾス氏がアマゾンを創業して23年、同社はこれまで大小さまざまな企業を70社以上買収してきた。
Dallas' D Magazineは2014年の記事で、 2010年に日用品ECサイトWootをアマゾンに1億1000万ドルで売却したマット・ラトリッジ氏が、契約成立後にベゾス氏と最初にミーティングしたときの様子を紹介している。
記事からは、ベゾス氏の雑談下手の一面だけでなく、同氏がビジネスとアマゾンのM&A戦略についてどう考えているかを読み取ることができる。
ラトリッジ氏は日曜夜にダラスからシアトルに移動し、月曜にベゾスと朝食を共にした。今後3年アマゾンにとどまるとの契約にサインしたラトリッジ氏は、ベゾス氏とのミーティングで自分の待遇について話し合われると思っていた。
だが、そうではなかった。ラトリッジ氏が遠くからはるばる来たにもかかわらず、ベゾス氏はきちんとした議題を何も準備していないように見えた。
ベゾス氏は地中海のタコにポテト、ベーコン、グリーンガーリックヨーグルト、ポーチドエッグを添えた外国の料理を注文した。ラトリッジ氏がベゾス氏になぜWootの買収を決めたのかを問うと、「長い気まずい沈黙」の後に、ベゾス氏は口を開いた。
「君は私が食べようとしているタコだ」とベゾス氏は言った。「私がメニューを見たとき、それは私にとって理解できないもので、持っていないものだった。だから私は朝ごはんにタコを食べなければならないというわけだ」
Woot買収後の朝食ミーティングから2年後、本来の契約期間が満了を迎える前にラトリッジ氏は会社を去った。運営のプレッシャーと、アマゾン傘下になったことは、Wootの基本的なスタイルを変え始め、ラトリッジ氏にとって耐えられない状態となった。アマゾンがWootを買収したのは、それがベゾス氏にとって知らない、そして面白い存在だったからだ。しかしアマゾンは、Wootのやり方を許容することも、そこから学ぶこともせず、変えてしまった。
つまりこういうことだろう。
「朝食のタコは食べられる前に、殺されなければならない」
(翻訳:浦上早苗)