ウォルマートのアパレルブランド買収は、アメリカ経済の二極化を意味する

モドクロスのモデル

女性向け衣料のモドクロス(ModCloth)のモデル

Modcloth Facebook

ウォルマートが高級路線へ参入しようとしている。そしてこの動きは、アメリカ経済に関する多くのことを物語っている。

6月16日(現地時間)、ウォルマートは高級紳士服ブランド「Bonobos」を3億1000万ドル (約340億円)で買収すると発表した。ボノボスは、スリムフィットパンツやシャツ、ジャケット、スーツ、タキシードなどを取り扱い、若年層や都市層のユーザーの人気を集めている。

ここ数カ月、ウォルマートは、流行りの、オンライン小売業者をいくつか買収している。女性向けファッションのModCloth(モドクロス)、アウトドア用品のMoosejaw(ムースジョー) 、靴の通販サイトのShoeBuy(シューバイ)などだ。

これらのブランドは、これまでウォルマートがファッション性よりも低価格を売りに販売してきた商品とは全く別物だ。モドクロスの商品の価格帯は、60〜150ドル。一方、ウォルマートの商品は、10〜25ドルが主流。

「Hayneedle(ヘイニードル)に加えて、シューバイやムースジョーの買収は、我々に、新たなノウハウとスキルをもたらし、高価格帯商品の取り扱いを可能にした」と、ウォルマートCEOのダグ・マクミロン(Doug McMillon)氏は、今年2月にアナリストに語っている。

ウォルマートとモドクロスのウェブサイト

左はウォルマート、右はモドクロスのウェブサイト。

Walmart.com, ModCloth.com

ウォルマートが高価格帯商品の取り扱いを開始したことは、多数の潜在的な中流層顧客が激減する中、低価格をアピールしてきた小売業者が変革に取り組まざるを得ない状況を示している。2000年から2014年の間に、 中流層の人口は、229の都市のうち、203の都市で減少したことが、ピュー・リサーチセンターの調査で明らかになった。

消費者が経済的に二極化する中で、ウォルマートは、低価格帯商品を好む消費者だけではなく、より質の高い商品を好む高所得者向け商品の販売を試みている。

同社はここ数年間、高所得者向けの販売、なかでも高所得者向けのeコマースに力を入れてきた。

「eコマースの性質や、小規模店舗Neighborhood Marketsの性質、そして我々が現在まさに取り組んでいることは、高所得者層の顧客との関わりをよりいっそう強める機会を作り出している」とマクミロン氏は2015年10月、投資家とのミーティングで語ったとFortuneは伝えている

ウォルマートが、ライバルのアマゾンに追いつくには、まだまだ長い道のりが必要だ。特に、アマゾンはアパレル分野を強化している。

アマゾンは今年、アメリカ最大のアパレル小売業であるメイシーズの売上を上回る見込みだ。アマゾンもウォールマートと同様に、高価格帯商品への取り組みを進めており、ザック・ポーゼン(Zac Posen)やスチュアート・ワイツマン(Stuart Weitzman)といったデザイナーブランドの商品を販売している。

source:Modcloth FacebookWalmart.comModCloth.com

[原文 :Walmart's latest move confirms the death of the American middle class as we know it (WMT, AMZM

(翻訳:Eiko Ofuji Mizuta)

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