アマゾン、スマートスピーカー戦争に「トロイの木馬」を投入 —— 「実質無料」の音声AI端末

ピンマイクを胸元に付けてスピーチしているアマゾンCEOジェフ・ベゾス氏

アマゾンCEOジェフ・ベゾス氏

Drew Angerer/Getty Images

  • アマゾンは、音声AIアシスタント「Alexa」を搭載した新端末「Amazon Dash Wand」を発売。価格は20ドル(約2200円)。
  • アマゾンが、スマートスピーカーでグーグルやアップルとの熾烈な競争を始めた中、「Amazon Dash Wand」の投入により、アマゾンは優位に立つ可能性がある。

アマゾン、グーグル、アップルは、立ち上がったばかりのスマートスピーカーで熾烈な競争を始めている。その中で、20ドルの新端末「Amazon Dash Wand」の投入により、アマゾンは優位に立つかもしれない。

今、テック業界で最も熱い分野は、AI搭載のバーチャルアシスタントだ。音声AIを搭載した端末は、スケジュール管理、ニュースの読み上げ、音楽再生、空調や照明のコントロール、食料品の注文などが可能だ。

当初、音声アシスタントAIは、スマートフォンやAmazon Echo、Google Homeなどのスマートスピーカーでしか使えなかったが、今では冷蔵庫から自動車まで、あらゆるデバイスや家電製品に急速に広がっている

Amazon Dash Wand

音声AI「Alexa」を搭載した「Amazon Dash Wand」

Amazon

そこで「Amazon Dash Wand」の出番だ。2014年に発売されたこの製品は、バーコードをスキャンするだけで、アマゾンのショッピングカートに商品を追加できる。マヨネーズが足りなくなったら、スキャンするだけで同じものを購入できる。

アマゾンはこの端末の新バージョンを発表した。音声AIアシスタント「Alexa」を搭載したバージョンだ。

これまで音声AI端末には、手軽な価格のものがなかった。 Amazon Echoは139ドル99セント、Googleアシスタント搭載のGoogle Homeは129ドル。アップルが今年後半に投入する「HomePod」は、さらに高額な349ドルとなる予定だ。

これまで最安は、Amazon Echo Dotの49ドル99セントだった。だがAlexa搭載のAmazon Dash Wandははるかに安い。価格は20ドルだが、アマゾンでの次回の買い物に使える20ドル分の割引が付くので、実質的には無料。競合製品の価格を圧倒的に下回る。

今後1年ほどのユーザー獲得が勝負を分ける

Amazon Echo

Amazon Echo

Amazon

AIアシスタントは、まだ家庭で使われ始めたばかり。できることはかなり限られており、大多数の人はまだ持っていない。しかし、各社にとって、今後1年ほどのユーザー獲得は極めて重要だ。

あなたが、AIアシスタントを試すことにしたとしよう。きっとAmazon Dash Wandを買うはずだ。何しろ実質的に無料だ。そして、気に入ったらAmazon Echoを手にいれる。さらにAlexa対応のスマート照明を使って、生活が便利になったと実感する。次は、Alexa対応の洗濯機、そして冷蔵庫、自動車という具合だ。

AIアシスタントは、買い替え時期が分かりやすく、多くの人が1~2年で買い替えるスマートフォンとは違う。一度バーチャルアシスタントのエコシステムに組み込まれると、ユーザーはその生活スタイルを変える可能性は極めて小さい。家の中のもの全てを変えることになるからだ。

バーチャルアシスタントのメリットは、他のデバイスと一体となって動作し、生活を整え、効率化してくれることだ。キッチンでAlexaを使い、リビングではGoogleアシスタントを使いたいという人はいない。実際の使用場面を考えると、統一された使用体験はユーザーにとって重要だ。だがそうなると、ユーザーは1社のエコシステムに、これまで以上により強く束縛されることになる。

それこそがアマゾンの戦略だ。Amazon Dash Wandは、エコシステムへの重要な第一歩となる。グーグルやアップルの製品にすぐに飛びつかないような、テクノロジーに詳しく、価格にも厳しいタイプのユーザーにAlexaを売り込む。

わずか20ドルだが、Amazon Dash Wandは、今後のユーザーのブランドロイヤルティと消費行動を決定づけるかもしれない。

Amazon Dash Wandの紹介動画は以下。

source:Amazon

[原文:Amazon's new dirt-cheap gadget is a Trojan horse built to beat Google and invade your home (AMZN, GOOG, AAPL)

(翻訳:Ito Yasuko)

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