地図で見る21世紀の難民大移動 —— 数百万人が逃れる先はヨーロッパとアフリカ

2014年の難民の流れ

2014年の難民の流れ

Earth TimeLapse

トランプ政権はこれまで、彼らが提案する移民政策は国境を超える難民の流入を止めるためだと繰り返し主張してきた。

Business Insiderは、6月20日の「世界難民の日」にちなみ、アメリカへの難民流入の実態を、世界の他の場所と比較検証した。

カーネギーメロン大学のCREATE Labと、安全保障の専門家でブラジルの独立系シンクタンクIgarapé Instituteのリサーチディレクターを務めるロバート・ムガ(Robert Muggah)氏が開発した「Earth TimeLapse」は、2000年~2015年の世界の難民の移動をまとめたマップ動画だ。

データの提供元は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)。点1つにつき難民17人を示し、赤い点はその国に到着したことを、黄色い点はその国を離れたことを示す。

その結果を、1年ごとに振り返る。


2001年は、主に中東(アフガニスタンなど)やアフリカ(スーダンやコンゴ共和国など)から約50万人の難民が流出した。

難民の流れ(2001年)

Earth TimeLapse

Source :UNHCR

2002年、新たに行き場を失った難民の数と、難民全体の数はともに前年に比べ減少した。 しかし、それでも多数の人々が、アフリカの紛争地域からより安全な近隣諸国もしくはヨーロッパを目指した。

難民の流れ(2002年)

Earth TimeLapse


2003年、ダルフール紛争により、難民がスーダンから隣国チャドに流入。UNHCRの試算によると、新たに流出した難民は、スーダン単独で推定約10万人。

難民の流れ(2003年)

Earth TimeLapse

Source :UNHCR

2004年もスーダンからの難民流出は続いた。さらにアフガニスタンからの難民がパキスタンとイランに押し寄せた。アメリカでは、ソマリアからの流入により難民数が増加。

難民の流れ(2004年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCRPewResearch Center

2005年末にかけて、難民の総数は1980年以来最も少なくなり、世界全体で推定840万人に。2005年の初めに比べると100万人以上が減少した。主な避難先は、パキスタンとイランだった。

難民の流れ(2005年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCR

その後1年で難民は再び増加し、世界全体で990万人に。2006年、第二次レバノン戦争を逃れた人々がシリアとドイツに押し寄せ、スリランカ内戦は人々をインドへ向かわせた。

難民の流れ(2006年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCR

難民は増え続け、2007年には1140万人に。アフリカ東部や南米で続く紛争から、多数の人々が逃げ出した。コロンビアの難民はベネズエラ、エクアドル、アメリカへ。さらにミャンマーで起きた大規模な反政府デモにより、多数の民間人が南へ避難した。

難民の流れ(2007年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCR

2008年、UNCHRが集計した全難民の半数を、アフガニスタンとイラクの難民が占めた。インドは約10万人のチベット難民の主な避難先になった。ソマリアの難民は引き続き近隣諸国に流入した。

難民の流れ(2008年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCRThe New York Times

2009年、ドイツは安全な場所を求める人々が目指す安息地の中心になった。行き場を失った移民の受け入れを、EUから要請されたのだ。イラク難民は引き続き全難民の大部分を占めた。

難民の流れ(2009年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCREuropean Resettlement Network

2010年、ミャンマーで継続中の内戦により、タイで難民が急増。さらに、キューバ難民がアメリカやプエルトリコに押し寄せた。

難民の流れ(2010年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCRThe New York TimesTimes Free Press


2011年、コンゴ、スーダン、ソマリアからの難民が難民全体の大部分を占めた。ヨーロッパへの流入が緩やかになる一方で、ハイチ難民がアメリカやドミニカ共和国へと向かった。

難民の流れ(2011年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCRCongressional Research Service

2012年、シリア内戦が本格化。多数の難民が、南はヨルダン、北はドイツやスウェーデンなどヨーロッパ諸国へ流出した。スーダンやソマリアの内紛も続いた。

難民の流れ(2012年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCR


2013年冬、ウクライナで大規模な抗議行動が起こり難民が発生、大半はロシアへ流出した。シリア難民は引き続きドイツへ。中央アフリカ共和国やスーダンの内戦により、人々の動きが複雑化した。

難民の流れ(2013年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCRThe New York Times

2014年、クリミア併合でウクライナ難民が激増。南アフリカ共和国も、ソマリアや他の内陸国から多数の難民を受け入れ始めた。

難民の流れ(2014年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCRThe Guardian

2015年、シリア難民危機により、難民の動きはいよいよ増大。100万人超がヨーロッパに、またそれに近い数が南アフリカに押し寄せた。それでも、アメリカの国際的な出番はほとんどなかった。

難民の流れ(2015年)

Earth TimeLapse

Source:UNHCR

[原文:Mesmerizing maps show the global flow of refugees over the last 15 years

(翻訳:Kamada Satoko)

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