Johan Nilsson/TT
スウェーデン発祥の家具量販店イケアは今月初め、未来に向けたさまざまな取り組みを発表した。その中には、組み立て時間を大幅に短縮する「クリック」技術もあった。
デジタルツールを活用した販売促進も積極的に進める同社は、サードパーティと運営する試験的なeコマースサイトに加え、アップルと共にAR(拡張現実)のアプリ開発に取り組んでいることを明らかにした。
「これは購入にかかる意思決定を可能にする、初のARアプリとなる」
イケアのデジタル変革リーダーを務めるマイケル・ヴァルトガード(Michael Valdsgaard)氏はスウェーデンの「Di Digital」にそう語った。
顧客はこのARアプリを使って、購入前に自宅に家具を配置したイメージをバーチャル体験できる。ヴァルトガード氏は、将来的にアプリ内での商品購入が可能になることを示唆した。
「それは野望と言える。初版では(アプリ内購入機能が)動作するかは約束できない」
同社の新ARアプリは2017年秋に発表予定。ヴァルトガード氏は「新商品が発表される際、今後はARアプリに最初に登場するようになる。今秋のローンチ時には、iOSのアプリで500~600商品が登場する予定だ」と述べた。
ヴァルトガード氏によると、アップルの技術とARにおける近年の進歩は、家具業界でのイケアの競争力を補完するために重要な役割を担う。また、アップルと協力するもう1つの大きなメリットとして、同社が持つ巨大なユーザーのエコシステムを挙げた。
「一晩にして最大のARプラットフォームになるだろう。我々にとって非常に面白いことだ」
Di Digitalの取材に対し、同氏は喜びを隠さなかったという。イケアが今後どのように家具を販売するかについて、ヴァルトガード氏は「400を数える店舗が最大の資産だ。それらを携帯機器、ソーシャルメディア、AR、サードパーティのECサイトなどできるだけ多くの方法を活用して補完していきたい。1つが他のものの代わりになることはなく、できる限り多くのことに挑戦していく」と語った。
ヴァルトガード氏は、イケアは家具メーカーのトップであり続けるものの、テクノロジーが事業の根幹を握るかぎとなると強調した。
「ARを導入するのであれば、テクノロジーを知る必要がある。ソファを理解したからといって、それができるわけではない」
(翻訳:Keitaro Imoto)