日本上陸間近? コミュニティで働き方に革新を起こす「WeWork」@ソウルを訪ねた

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アジア最大規模を誇る韓国・ソウルの「WeWork Euljiro」

最近、急に日本でも話題になり始めているWeWork。「クリエーターのためのプラットフォーム」を掲げるシェアオフィス企業だ。2017年時点で、世界47都市に184拠点を持ち、急成長するユニコーン企業として知られる。

だが日本では、まだまだ謎めいた企業という印象が強いのではないだろうか。それはまだ日本に彼らのオフィスがオープンしていないことも一因だろう。

しかし4月中旬、LinkedinのWeWork公式アカウント上で東京ベースのオープンポジションが公開され始めたことから、「秋にも日本上陸か」と急速にその名が日本でも知られ始めている。

なぜシェアオフィスの運営会社がそれだけ急成長し、時価総額で169億ドルもの評価を受けるのか(TechCrunch調べ、ソフトバンクの出資によりさらに企業価値は上がっているとも見られている)。世界で約10万人が利用するその真の魅力について、アジアで最大規模を誇る韓国・ソウルのWeWork Euljiroにて、コミュニティ・ディレクターのSoojinから直接話を聞いた。

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クリエイターのためのプラットフォーマーWeWork。

改めてWeWorkとはどんな企業なのか? それは公式Websiteにシンプルに表現されている。

「クリエイターのグローバルネットワークのためのワークスペース、コミュニティそしてサービス」と。各要素を紐解くことで、何がただのシェアオフィス運営企業と大きく異なるのかを紹介しよう。

データが生んだ明確な美意識と躍動感に満ちたワークスペース

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シェアするスペースであれ、妥協を許さないクリエイティブ精神がそこにはある。

まず一つ目のワークスペース。WeWorkオフィスに一歩足を踏み入れると、その時点で他のシェアオフィスとの違いを感じられる。まるで人材獲得のために徹底したオフィス設計に力を入れるシリコンバレーのテック企業のオフィスのようだ。

彼らは、2015年に建築事務所Caseを買収し、同社が持つBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)技術をベースにした設計・施工ノウハウを取り入れ、データを活用したオフィスデザインを展開している。

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昼間からクラフトビールを片手に作業をする光景も。

クリエイティブな発想を掻き立てる空間のみならず、リラックスできるスペースも充実している。毎日24時間電気が灯り、音楽も流れているためグローバルに働くメンバーにも快適な環境だ。

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ランチ時に賑わいをみせるダーツスペース。

シャワーも完備しているため、ここに住めてしまいそうだが、コミュニティ・ディレクターのSoojinは、ルール上は問題ないが、健康的に働いて欲しいのでおすすめはしないとのことだった。

数多くのメンバーが使用するオフィスだが、ミーティングルームは40個以上あり、満室になる事はないという。すべてのミーティングルームはメンバー専用アプリから予約可能。

毎月世界のどこかでオープニングパーティー

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約3000人が収容可能なソウルの「WeWork Euljiro」。WeWork Tokyoのオープニング・パーティーもそう遠くないという。

WeWork Euljiroは昨冬にオープンしたばかりで、約3000人収容可能というアジア最大級のスペース。最近も上海、シドニーで新たなオフィスがオープンし、毎月1〜2箇所が世界のどこかでオープンしている。WeWork Tokyoのオープニングパーティーもそう遠くない日に開催されるだろう。

コミュニティこそがWeWorkのすべて

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ダイバーシティが異色のコラボレーションを可能とする。

WeWork会員の “メンバー”も口をそろえて評価するのが彼らのコミュニティ。実際にコミュニティ作りの担当のSoojinも、WeWork最大の強みはコミュニティにあると言う。

世界各地のWeWorkには社員数人規模のスタートアップから政府機関、フリーランスエンジニアまで幅広いメンバーが所属。WeWork Euljiroの場合、ミレニアル世代の30代が中心だという。

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アメリカのみならず世界中で蔓延していた成果主義。働き方に革新を起こすことは、WeWorkのモットーだ。

このコミュニティには誰でも入れるのだろうか。

Soojinは”YES”と即答。入会時にインタビューはしないし、誰でも歓迎。ワーキングマザーが働きやすいように授乳室があったり、車椅子を利用するメンバーが使いやすいようなユニバーサルデザインを採用している。

なぜコミュニティにこだわるのか?

WeWorkがコミュニティに徹底してこだわる理由は何なのか? その答えこそが彼らのオフィススペース、コミュニティに反映されている。

彼らは働き方にイノベーションを起こそうとしているのだ。アメリカのみならず世界中で、これまで蔓延していた成果主義、自分の仕事にのみ没頭する風潮に嫌気が差し始めている。楽しく自由に、そして異業種の人と交流し、自らのスキルをメインの仕事以外でも生かしたいというニーズが高まってきた。そういったニーズを後押しすることがWeWork最大のミッションなのだ。

ミッションを果たす鍵がコミュニティであり、それを支えるのがメンバー同士のコミュニケーションだ。

そのためにコミュニティ・ディレクターは毎日のようにパーティーやセミナーなどの幅広いイベントを企画している。メンバー専用アプリ上ではイベントに関する投稿や、ライターやデザイナーなどさまざまな人材を探すための投稿も活発で、メンバー同士が積極的に交流をしている。

あるいはアプリ上から別のWeWorkメンバーを探し、興味があれば直接連絡を取ることもできる。グローバルに、異業種で働く多様なメンバーで溢れているWeWorkコミュニティだからこそ、実際に多くのコラボレーションが生まれている。

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WeWorkのコミュニティに属するだけで受けられる多様なサービスがあるという。

コミュニティに属する良さは、楽しさやコラボレーションの可能性だけではない。実際にメンバーになるだけで受けられる多様なサービスがある。

例えばMicrosoft Officeなどのパッケージ商品。通常一企業として支払う金額よりも安価な金額でサービスを利用できる。メンバーには小さな会社が多い。そうした会社は、WeWorkコミュニティとしてメンバー数を拡大することでさまざまなサービスを安価で受けられる。

多様な交流で新たなワークスタイルを創造する「WeWork」

WeWorkのステッカー

「Thanks God It’s Monday!(月曜から気持ちはハッピーに)」の精神を生み出すコミュニティ企業「WeWork」

多様な企業や人間と交流することでコラボレーションが生まれ、自らのスキルを磨きながら気持ちよく働いていく。月曜から気持ちはハッピーに、”Thanks God It’s Monday!”。その精神を生み出すのがコミュニティ企業のWeWorkなのだ。


Matt Masui:米ユニコーン企業のデジタルプロデューサー。個人活動の一環で、旅・テクノロジー・マーケティング・グローバルキャリア分野中心に執筆する。京都大学経済学部卒業後、NTT docomoに入社。その後、500 Startups出身のTokyo Otaku Modeを経て、2016年から現職。

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