[レビュー] 格安SIMと相性抜群「P10 Plus」と「P10」はどちらが"買い"なのか?

ファーウェイのフラッグシップモデル「P10」(右)と「P10 Plus」(左)。

成熟期にあると言われるスマートフォン市場で、世界シェア3位に入るなど急成長を続けるファーウェイ。同社が6月9日から日本に投入した、最新のフラッグシップモデルが「P10」「P10 Plus」の2機種だ。

Pシリーズが躍進したきっかけは、昨年発売になった「P9」にある。同モデルでファーウェイは、老舗カメラメーカーのライカと、カメラ機能を共同で開発。アップルに先駆けて2つのレンズを搭載する「ダブルレンズ」を採用し、その画質の高さからカメラ機能にこだわりのあるファンから大きな話題を呼んだ。結果として、高価格帯モデルにおけるファーウェイのシェアを高めることに成功し、ブランド力の向上にも寄与した。

その直接的な後継機となるのが、P10とP10 Plusの2機種だ。好評を博したカメラは、画質がより高くなっただけでなく、1200万画素で2倍相当のズームも可能になった。P10 Plusについては、レンズも進化。F値1.8の「SUMMILUX-H」を搭載し、暗い場所での撮影性能が大きく上がっている。

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金属の加工が精緻で、質感は非常に高い。

SIMフリースマホのなかでもトップクラスの質感、性能も高い

もちろん、スマホの基本性能であるパフォーマンスも向上。デザイン面では、P10 Plusのグリナリー

(緑)と、P10のダズリングブルーが、色見本でおなじみのPANTONEとコラボレーションしている。筆者は、この2機種を1週間程度試用することができた。

2機種に共通するのが、本体の質感の高さ。背面に金属が使われており、しかもカラーによって加工方法が異なる。筆者が試したグリナリーのP10 Plusは、サラッとした手触り。一方で、P10の背面は同じ金属ながら、細かな網目のような加工が施されており、ザラっとした質感を実現している。どちらが好きかは好みが分かれるところだが、フラッグシップモデルならではの高級感はある。

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カラーリングによって、金属の加工方法を変えているのもポイント。左がグリナリー、右がダズリングブルーだ。

ハイエンド機ということで、パフォーマンスも高い。2機種とも、処理性能を決めるプロセッサーにはファーウェイ傘下のハイシリコン社が開発したプロセッサー「Kirin 960」が搭載されており、メモリー(RAM)は4GB、ストレージ(ROM)は64GB。SNSやブラウザなど、スマホの基本と言えるアプリはサクサク動くし、アプリの立ち上がりも速い。ベンチマークアプリでAnTuTu Benchmarkでの性能スコアは約12万8000と、ハイエンド端末と呼ぶにふさわしい性能だ。

いまや欠かせなくなった指紋センサーは、精度が高く、読み取りの速さが特徴だ。P10、P10 Plusから、ファーウェイはこれまで背面に搭載していた指紋センサーを前面に移し、ロック解除のほか、戻るキーなどの代わりに使えるよう、機能を改めてきた。

従来は背面に設置していた指紋センサーは本体を机の上に置いているようなシーンでは、一度スマホを持ち上げなければならず、使い勝手が悪い。その不便を、今回から前面に指紋センサーを移すことで、解消した格好だ。

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ダブルレンズカメラは、精細で色鮮やかな写真が撮れる。特に、2つのカメラで距離を測り、背景に一眼レフで撮ったかのような美しいボケを加えることができる「ワイドアパーチャ」を使うと、強調したい被写体がクッキリ浮かび上がってくる。

シャッターを押すだけでそれなりの仕上がりになるのがスマホのカメラだが、これに加えて、P10、P10 Plusは、どうやったらボケ味のある写真を撮れるかを工夫したくなってくる。その意味で、写真がキレイなだけでなく、撮影を楽しめるスマホと言えるかもしれない。

ちなみに、2機種で取り比べると、ほぼ同じシーンでも、P10 Plusの方がレンズが明るいためか、ISO値が低くなるなど違いは確かにある。

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P10 Plusで撮った写真。鮮やかモードにしており、料理の色もビビッド。

2枚の格安SIMを使い分けられる"DSDS"対応

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DSDS対応で、2枚のSIMカードで同時に待受けできる。右側がSIM1のスロット。左型のSIM2スロットはマイクロSDカードスロットと兼用になっている。

両機種とも、デュアルSIM/デュアルスタンバイ(DSDS)に対応しているのも注目だ。筆者は試用の際に、LINE MOBILEとY!mobileのSIMカードを2枚挿していた。2回線ともサブとして契約しているSIMカードで、データ容量が少ないためだ。2つの電話番号で待受けしつつ、片方の容量が足りなくなった際に、サッと切り替えられるのが便利だ。

ほかにも、たとえば、大手キャリアの電話番号を残したまま、データ通信だけ割安なMVNOのSIMカードを使ったりもできる。2つ目のSIMカードスロットはmicro SDスロットと兼用にはなるものの、そもそも内蔵ストレージが64GBあるから、動画や写真などをたくさん持ち歩かなければ十分だろう。

P10 Plusのウィークポイント

完成度は非常に高いP10、P10 Plusだが、指紋センサーを前面に持ってきたトレードオフとして、どうしても画面周囲のベゼルが太くなってしまう欠点がある。Mate 9と比べてもそれは明確で、P10 Plusが5.5インチ、Mate 9が5.9インチと、ディスプレイサイズに0.4インチもの違いがある一方で、縦の寸法は2機種とも近い数値だ(P10 Plusが153.5mm、Mate 9が156.9mm)。結果として、P10 Plusはディスプレイサイズの割には、画面上部に指が届きにくいという印象を与える。

また、質感は高いが本体のデザインの問題でパッと見た際の印象が、iPhoneの後追いのように見えてしまうのが残念なところ。Androidはボタンを前面から排除することで、よりすっきりしたデザインに仕上げられる美点があるだけに、指紋センサーは背面のままか、側面や音波方式を使うなどして、ディスプレイの下に埋め込んでほしかったというのが、率直な感想だ。

「P10 Plus」にお買い得感アリの理由

P10とP10 Plus、どちらも購入に値する魅力がある端末だが、あえてどちらか1つを選ぶとすると、筆者は迷わずP10 Plusにする。

理由はシンプルで、性能差のわりに、価格差が小さいからだ。まずカメラは、P10 Plusの方が高性能で、暗い場所に強い。もちろん、P10のカメラも旧機種のP9と比べれば画素数が上がって進化しているが、それでも昨年12月に発売されたファーウェイの別シリーズ「Mate 9」と同等だ。そして、そのMate 9はディスプレイが5.9インチとP10より大きく映像に迫力があり、しかも価格がP10より安い。ちなみにP10は実売7万円だが、Mate 9は実売5万8000円程度だ。

逆にP10 Plusは、P10より8000円高い実売7万8000円だが、先に挙げたように高性能な明るいレンズでより美しい写真が撮れる上に、ディスプレイが5.5インチとP10より大きい(解像度も1440×2560ドットとP10より高性能)。スペック表にはうたわれていないが、生活防水に対応しているのも、P10 Plusだけだ。スマートフォンは2年程度使うものと考えると、わずか7000円の差でここまで違いがあるのであれば、思い切って最上位のP10 Plusにした方がいい、という考え方だ。

上がP10 Plus、下がP10。カメラのレンズがより明るい(F1.8)のP10 Plusの方が夜でも低いISO値で撮れる。画質面で有利だ。

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背景をぼかす「ワイドアパーチャ」機能。一眼カメラで撮ったかのような、インスタ映えする写真に加工できる。

ワイドアパーチャで、ボケ味やピントの位置をあとから調整することが可能だ。


ボディの質感は一見の価値あり

金属の加工が精緻で、質感は非常に高い。中国メーカーのスマホ=質感もそれなり、と思っている人は量販店で一度見てみる価値はある。



デュアルSIM端末でSIMを2枚挿すと、2つのキャリア名が同時に表示される。

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(撮影:石野純也)


石野純也:ケータイジャーナリスト。出版社の雑誌編集部勤務を経て独立後、フリーランスジャーナリストとして執筆活動を行う。国内外のスマートフォン事情に精通している。

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