ミレニアル世代は重要だ。
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史上最大級の富の移転が起ころうとしている今、ミレニアル世代は非常に重要だ。
スイスの金融大手UBSは、発表した報告書でそうまとめた。
ミレニアル世代(報告書では1982~1998年生まれと定義)のうち、年齢が高い層は所得のピーク期に入ろうとしている。同時に、戦後生まれのベビーブーマー世代は数年以内に下の世代に何兆ドルもの資産を引き継ぐだろう。
世界のミレニアル世代の総資産は、2020年に最大24兆ドル(約2670兆8000億円)に達し、2015年から7兆ドル(約778兆9000億円 )増加すると、報告書は試算する。
UBS・アメリカのトム・ナラティル(Tom Naratil)社長とスイスUBS・ウェルス・マネジメントのユルグ・ツェルトナー(Jürg Zeltner)社長両氏によると、金融機関はウェルス・マネジメント(資産運用)に関して、間もなく「史上最大級の富の世代間移動」の恩恵を受けるミレニアル世代特有の嗜好・傾向を意識することが「非常に重要」になるとしている。
報告書によると、ミレニアル世代を引き付けるようなサービスを形成するにあたって、意識すべき嗜好・傾向は3つある。
利便性
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それが空港への送迎だろうと好きな番組の各放送回分だろうと、ミレニアル世代は欲しいときに欲しいものを手に入れることに慣れている。報告書によると、ミレニアル世代は資産管理にも同じようなオンデマンドサービスを求めている。
「アプリ内チャットやビデオ会議など、ファイナンシャルアドバイスを受けられるモバイル型のバンキングサービスに対するミレニアル世代の需要は、ベビーブーマー世代に比べ2倍以上高い」
デジタルとアナログの活用
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ミレニアル世代が携帯電話から資産管理できるようになることを求めていることは、誰が見ても明らかだ。だからといって、金融機関が一挙に実店舗を閉鎖するべきというわけではない。報告書によると、ミレニアル世代は、ベビーブーマー世代よりも実店舗を活用している。
「ミレニアル世代が実店舗を訪ねる頻度は、ベビーブーマー世代のほぼ2倍(ミレニアル世代が年29回、ベビーブーマー世代が年16回)。そして、ブローカーやエージェントなどと接触する頻度はベビーブーマー世代の3倍」という。
つまり、実店舗のような既存サービスと、デジタルサービスの両方を提供する金融機関は、ミレニアル世代を最もうまく引きつけられるだろう。
透明性
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ミレニアル世代は最もオープンな世代だ。企業が自身の習慣、購入履歴、検索履歴などのデータを収集していたとしても、それが製品やサービスの質の向上につながるなら、ミレニアル世代は概して気に留めない。報告書によると、この傾向はファイナンシャルサービスにも当てはまるため、金融機関はうまく活用するべきだという。
報告書はコロンビア・ビジネス・スクールの研究を引用し、「ミレニアル世代の23%は携帯電話番号を教えるのに抵抗がない。購入履歴の共有に関しては21%、世帯収入の共有に関しては15%が、シェアを嫌がらない。一方、ベビーブーマー世代をみると、携帯電話番号のシェアに前向きなのは11%、購入履歴は12%、世帯収入は6%にとどまる」と述べている。
(翻訳:Yuta Machida)