主役交代? アメリカ株式市場の期待を集めるバイオテクノロジー株

ラボで研究者2人がこちらに向かってほほ笑んでいる様子

6月第3週は、アメリカのバイオ・製薬株にとって重要な転換点となった

U.S. Army RDECOM / Flickr

株式市場で、主役の座の奪い合いが始まりそうだ。

2016年11月の大統領選からしばらくの間、アメリカの株価指数は、大型テック企業や金融企業の株価に支配されてきた。だが、6月第3週に出た好材料を受け、製薬企業の銘柄が有望視され始めた。

ナスダック・バイオテクノロジー株指数(NBI)は、6月19日から23日までの5日間で9.2%上昇。大統領選の週以来最大の上げ幅となった。162銘柄で構成される同指数をけん引したのは、Portola PharmaceuticalsとClovis Oncologyの株価上昇だ。両銘柄は共に55%以上伸びた。

さらに、NBIに連動するETF(上場投資信託)には、23日取引終了までの3日間で7億ドル(約780億円)超が流入。2016年11月上旬以来、最高の流入額となった。

NBI連動のETF純資金流出入推移

Business Insider / Andy Kiersz, data from Bloomberg

大統領選後、アメリカの株式相場の上昇はかなりの部分でトランプ大統領の政策に対する楽観的な見方に支えられてきたが、バイオテクノロジー株は「好材料の出現」という昔ながらの理由で上昇した。

カイザー・ヘルス・ニュースポリティコが伝えたところによると、トランプ政権は現在、製薬会社に有利な薬価引き下げの大統領令を準備しているという。20日(現地時間)、ニューヨークタイムズは大統領令草案の内容について報じ、トランプ政権がおそらく薬価に関して業界寄りの姿勢を取ることを改めて伝えた。

これは、製薬業界に敵対的な発言を行ってきたトランプ大統領の姿勢が大きく転換したことを意味する。大統領は今年1月、バイオテクノロジー企業は「悪いことをしても罰せられない」とまで述べていた。

バイオテクノロジー株をめぐる状況は大統領選以降、紆余曲折を経てきた。

NBIは大統領選の翌週、トランプ氏が製薬業界に好影響をもたらすとの予想の中で12%上昇。一方、ヒラリー・クリントン氏は選挙キャンペーン中、製薬業界を何度も批判していた。

だが物事は単純には進まなかった。投資家たちは、トランプ氏の複数の発言から、同氏も製薬業界を標的にしていると考えるようになった。例えば3月21日、トランプ大統領は共和党のオバマケア代替案に薬価引き下げ条項を加えたいとの意向を示した。NBIは同日2.8%下落した。

当時、製薬業界の先行きは暗く見えたかもしれない。だが、5月18日時点のブルームバーグのデータを見ると、最近のNBIの上昇を予見していたオプショントレーダーがNBIから生じ得る損失をヘッジするために支払ったコストは、2013年10月以来最も低かった。これは上昇トレンドの現れだ。

NBI連動ETF・S&P 500連動ETFの価格変動率推移

Business Insider / Andy Kiersz, data from Bloomberg

また、投資家たちは今年後半に予想される製薬業界の収益改善を見越して、現在バイオテクノロジー株を買い入れている可能性もある。

ブルームバーグの試算によると、製薬業界の収益は第4四半期に5.7%増となり、2017年全体では最大4.8%の増収となる見込み。S&P 500よりは弱いが、混乱を経た後に再び地に足をつけたばかりの製薬業界にとっては歓迎すべき兆候だ。

写真: U.S. Army RDECOM / Flickr

[原文:There’s a surprising new champion of the stock market

(翻訳:Keitaro Imoto)

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