「ファミマでライザップ」が火をつけた—— コンビニが競う健康ビジネスという鉱脈

6月26日、ファミリーマート本社(東京・池袋)で行われた記者会見は、いつもと一味違っていた。ぽっちゃりめの加盟店ストアスタッフ男女11人が集まり、同社の澤田貴司社長の前で2カ月にわたる「ダイエット宣言」をしたのだ。

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ネタを明かすと、会見は「#ファミマでライザップ ファミマで糖質コントロール生活」という企画スタートの一コマ。

ファミマは2016年10月に「健康で安心な生活を提供する」という思いが合致したライザップと、ヘルスケアやライフスタイル領域全般において協業し、糖質を低減したメニューなどをリリース。累計販売1600万個を売り、「結果にコミット」してきた。

今回は新たに「RIZAP キーマカレー風サラダ」(1個あたり糖質7.2グラム・132キロカロリー)や「RIZAP 辛豚骨ラーメン」(同糖質18グラム・304キロカロリー)など7品目を発売したのに加え、前出のスタッフ自らがライザップの管理栄養士の指導のもと、体質改善に挑むという企画なのである。

6月27日~8月28日まで、管理栄養士がファミマで売っている商品の中から1日の糖質量が100グラム以下になるメニューを設定し、SNSで公開するというから強力な販促にもなる。

「加盟店のみなさんと一緒になって、世の中に健康的な生活を提案できて大変うれしい」と、澤田社長も声に力が入る。

ふと思った。昔は、コンビニの社長が「我々が健康的な暮らしを提供していく」などと公の場で話すことはまずなかった。

客の過半数はミドル。超高齢社会が求める健康的イメージ

だが、今は違う。来店客の過半数はミドル世代で、コンビニはもう若者の店ではない。つまり、超高齢社会の日本のコンビニは、これからますます健康的なイメージを上げていかなくては、客を囲い込めない時代がやってくるのだ。

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現に、冒頭のファミマのライザップコラボ商品は、意識高い系の若いビジネスパーソンにウケているのかと思ったら、「健康診断で気になるところが出てくる、40~50代男女から高い支持を集めている」(ファミマ広報)という。

「わざわざライザップに通うことはできないが、近所のコンビニでライザップを体験できるなら商品を買ってみたい」という中高年の潜在ニーズを掘り起こしたのだから、ファミマは新たな健康ビジネスの鉱脈を見つけたといっていいだろう。

ローソンは「マチの健康ステーション」

業界で、健康路線をいち早く宣言したのはローソンだ。

2001年からオーガニック商品など、美と健康にこだわった品ぞろえを貫く「ナチュラルローソン(NL)」を展開している実績に加え、13年秋にはコーポレートスローガンを「マチの健康ステーション」に変更。相当力が入っている。当初は別会社だったナチュラルローソンが08年にローソンの組織に入ったことも、健康路線を強化させる伏線だったのかもしれない。

「商品開発チームはそれぞれ分かれていますが、ローソンの売り場にナチュラルローソンブランドの商品が増えています」(ローソン広報)

代表商品は、野菜や果物をふんだんに使用する「グリーンスムージーシリーズ」や低糖質の「ブランパンシリーズ」などで、パッケージにちゃんと「NLロゴ」が入っている。いずれも累計販売個数1億個超えの大ヒットになったところをみると、やはり今のコンビニユーザーはヘルシー商品を求めていることがよくわかる。

「素材に徹底的にこだわり、本当にヘルシーだといえる商品にしかNLロゴはつけません」(ローソン広報)というから、「コンビニ商品って、どれも体によくなさそう」とまだ思っている人は、試しに赤い「NLロゴ」商品を探してみるといい。ドリンクのほか、国産素材やスーパーフードで作った200キロカロリー以下のお菓子など、いろいろある。

ではコンビニ界のリーダー、セブン-イレブン(以下セブン)はどうなのか?

ファミマにはライザップ、ローソンにはナチュラルローソンと、健康を象徴する存在がある。それがないため「セブンはあまり健康に気遣ってない」と決めつけるのは早計だ。

セブンはレイアウトを変えて常識を覆す

セブンイレブン

今、セブンは40年ぶりに店内のレイアウトの変更に着手している。すでにツイッターなどで話題なっているから、気づいている人も多いだろう。入ってすぐ右が雑誌コーナーといった「コンビニの常識」を覆し、惣菜や冷凍食品など、ふだん食卓に上る高品質なメニューをより充実させる売り場へと変身させる計画だ。

一見、健康戦略とは無縁のように思えるが、実は違う。「お好みのメニューをいろいろ選べて、彩り豊かな食生活を応援する。(売り場は)ブュッフェであるべき」というのが同社の古屋一樹社長の信条だ。低カロリー、糖質オフといったキーワードよりも「ふだんの食事を、バランスよくしっかりとれる充実した品ぞろえと買いやすい売り場の実現」が、セブン流の健康生活応援策なのだ。

コンビニに浸透してきた健康戦略。梅雨で体調が悪いと思ったときこそ、コンビニのはしごにチャレンジしてみてはどうか。カラダが喜ぶ一品がきっと見つかる —— それが今のコンビニだ。


吉岡 秀子:コンビニジャーナリスト。2002年から日本人のライフスタイルに応じた「新しいモノ・サービス」を生み出す拠点としてコンビニ業界を徹底取材。現在、コンビニ専門家として執筆のほかメディア出演等も。近著に『セブン-イレブンは日本をどう変えたのか』がある。

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