20億ユーザー達成のFacebookが抱えるジレンマ

レーザーでインターネットを届けるドローン「Aquila」の羽の模型を持ち上げるマーク・ザッカーバーグCEO

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Facebook

ある意味、Facebookにとって20億人のユーザーを獲得することは容易だったのかもしれない。

この10年間、Facebookは順調に成長を続けてきた。Facebookの強みはその普及率の高さにある。「皆が使っているから、私も使う」それがユーザーを引きつける理由だ。

しかし、世界でインターネットにアクセスできる人口の約3分の2がFacebookユーザーとなった今、ここからの成長は簡単ではない。

同社の株価を過去最高値まで押し上げた強力な事業体制も揺らぐ恐れがある。もちろん、一夜にして崩れることはないだろうが。

インターネットアクセスはあるが、まだFacebookを使用していない約15億人を獲得することができれば、ユーザー数40億人は夢ではない。だがこの人口の大部分が居住するのは、Facebookへのアクセスがブロックされている中国だ。つまり、同社がさらなる成長を実現するには、外交において賢く立ち回るか、言論の自由と情報公開に関する方針で譲歩しなければならない。

次の策は、インターネットにアクセスを持たない貧困層を獲得し、広告収入を増やすことだ。だが、これにはいくつかの問題点が挙げられる。

Facebookユーザー1人当たりの地域別収益グラフをみれば、この問題をより明確に理解できるだろう。

Facebookユーザー1人当たりの地理別収益チャート

Facebookユーザー1人当たりの地域別収益チャート。グラフの下から北米、ヨーロッパ、アジア諸国、その他。

Facebook

グラフからは、Facebookが利益の大部分を北米、ヨーロッパ、アジアといったインターネットにアクセスを持つ人々が集中する地域で稼いでいることが分かる。

インターネット依存症(ある報告書によると、アメリカ人は毎日平均5時間をモバイル機器に費やすという)とも言える彼らは、Facebookに広告を掲載する企業にとって理想的なユーザーだ。北米やヨーロッパのFacebookユーザーは、開発途上国のユーザーに比べて、消費に回せる所得が多い。

新規ユーザー獲得コストは限界

しかし、将来的なFacebookユーザーのグループは、同社にとって高い収益性が見込める層ではない。さらに言えば、これらの層にリーチするには、今までよりもコストがかかる。

Facebookは、いずれインターネット人口が上限に達することを知っている。同社がサブサハラアフリカにインターネットアクセスを届けるドローンの開発に励み、インドのWiFi施設に補助金を出し、農村地域にFacebookを提供するため通信会社にお金を支払っているのはそのためだ。

それらは安い投資ではない。Facebookの設備投資費は2016年には45億ドル(約5000億円)になり、2年前の18億3000万ドル(約2050億円)から大きく増加した。

同社は新規ユーザー獲得にかかる費用を開示していない。だが、その数字がいくらであろうと、ユーザー獲得のためにインフラ投資を続けるなら、コストが増大するのは間違いない。

つまりFacebookは今後、多額の費用を投じて、収益性の低いユーザーを獲得することになるだろう。

[原文:Facebook easily coasted to 2 billion users, but the joy ride may be coming to an end (FB)

(翻訳:Keitaro Imoto)

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