アイデアを「気づく」センスを磨き、「10年後のフツウ」を創り出せ!——超AI時代を生き延びる逆説的思考③落合陽一×馬田隆明

スタートアップ的思考を知り尽くす2人の本音トークを3回に分けてお届けしてきた。日本のスタートアップの世界展開を支援してきた馬田隆明氏(東京大学 産学協創推進本部 本郷テックガレージ ディレクター)と、コンピュータと人との新たなる関係性である「デジタルネイチャー」という世界観を提唱する落合陽一氏(筑波大学学長補佐 助教)。最終回のテーマは、「ポストモダンを生き抜くスタートアップに相応しいチームの作り方」と「イノベーションの極意」「ブルーオーシャン的思考法」について。AI時代といっても、やはり、それぞれ個性的なキャラクター同士の「人の取り合わせ」や人と人とを結びつける「メンタリング関係」が大切なことが伝わってきた。

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落合陽一氏(左)と馬田隆明氏。最終回ではAI時代を生き抜くためのチーム作りや思考法を語った。

馬田:落合さんは著書『超AI時代の生存戦略——シンギュラリティ〈2040年代〉に備える34のリスト』で、LINEのスタンプみたいに曖昧な情報伝達が流行るのも、人はコミュニケーションのスキームでは「非合理的なこと」を望んでいるからであって、飲み会やランチ会みたいな、一見非合理なコミュニケーションは、AI時代になろうが、結局は「人間がやらないといけないこと」とお書きになっているのが印象的でした。落合さんのラボ(筑波大学デジタルネイチャー研究室)でのコミュニケーションづくりでは、どんなことを意識していますか?

落合:学生同士でも、僕と学生との関係でも、互いがおのずと近接していくような「環境」を用意するっていうことですかね。ごちゃまぜの中からイノベーションは生まれるから。

馬田:私のところ(東京大学・本郷テックガレージ)でもそういう環境をつくりたいとは思っているんです。ただ、技術者同士って、そうは簡単にくっついてくれませんよね。

落合:うちのラボの場合は、僕が半強制力を働かせているから(笑)。自分で考えないと前に進まない環境。特にうちのラボに関しては、俺が最後まで方針を決めちゃうと言われたことをやるだけの人になってしまうので、あえてあやふや度を残しつつ。予算と責任を用意しておく。

高度なITで接続された「メンタリング」関係を築く

馬田:落合さんのラボでは1プロジェクトを2週間で回していくようなスピード感で動いているんですよね。そんなスピード感で多数のプロジェクトを回していくには、何か秘訣がありそうですね。

落合:秘訣といえば、「高度なITによって接続されたメンタリング関係」をいかに築くか、ですかね。仲間同士で24時間は一緒にいられないけれど、情報ツールで繋がっていれば24時間相互に監視していくことはできる。人間って、意外と誰かが「このプロジェクト、君できるからやってみなよ」って言ってくれればやるみたいなところあるじゃないですか。できることがわかっていそうな人から「できる」ってお墨付きをもらえるっていうのは、重要なんじゃないかなと。

馬田:すぐに相談できる人がなんとなく周りにいて、「いいんじゃない」と言ったり言ってもらえたりができる学生同士の関係性を構築していると。

落合:そうそう。日常的にLINEとか(チャットツールの)Slack上で、ポンポンとプチ議論とか「いいね!」スタンプとかが飛び交ってます。あと、まあ僕自身プログラマーだし、実際に自分で論文もたくさん書いているんで、大体できることはわかるし、できないこともわかる。5年前だとできなかったけれど今の時代性ならできそうな匂いがするなーっていうことを振ることにしている。そういう経験が1週目の学生さんには、そこの肌感覚がわからないからね。

馬田:学生同士、あるいは落合さんと学生さんとのコミュニケーションを増やす工夫は?

落合:これだけプロジェクトの量が多いと、みんなが「毎日が締め切り」状態で必死なの。会話は必然的に増えるんですよ。今朝は2個のプロジェクトの締め切りがあって、僕はずっと徹夜してて(笑)。それと、SIGGRAPH(世界最大のコンピュータグラフィックスの国際会議)のポスターに12個出しているんだけど、結果が返ってきて、8個通っていて、「おーなかなかいいじゃん」とわいわい分かち合ったり。そうこうするうちに、明後日の展示があったりして、みんな必死で作っていたり。あ、そうそう、一昨日はヤフーの展示の撤収もあったな。「やばかったら電話して! 俺のスケジュールをブロックして会いに来て」って言っている。あとは、Slackの発言ランキングを毎週出したりするとかかな。寄与度が一発でわかるからね。

馬田:なるほど。プロジェクトの量があるからおのずと会話が増えるというのは、確かにすごくいいですね。でも毎日が締め切りって……。たしかに落合研は体力が要りそう(笑)。

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面倒な仕事を引き受けるスタートアップはハネる

落合:何かをぎゅっと進めていくときに、人と人との取り合わせの妙、みたいなものもあると思う。この前ね、うちのラボで名言が生まれたんですよ。長野の高専から来た学生がいるんだけど、仲間の働きをつぶさに観察して、「あいつは『ズク』があるけど、こいつには『ズク』がない」とか言い出して。

馬田:ズク? 方言か何かですか?

落合:そう。ズクっていうのは、人が嫌がることでも惜しまず進んで引き受けてやってしまえる能力っていう意味の長野の方言なんだって。もう、その二文字に人の生き方を表すようなエッセンスが集約されているのが感動的で(笑)。「締め切り力」とかいってもいい。「しんがり力」かも。つまり、ちゃんと終わらせることに責任を持っている人。

馬田:うん、伝わってきます。

落合:いまや、うちのラボでは共用語になって。「ズクがないやつだけで組ませると(プロジェクトが)終わるから、ズクがあるやつにメンション(LINEのグループトークで指名して話題を振ること)して!」とか言うだけで、伝えたいことが即通じる。

馬田:確かに。

落合:別に、そんなに多くの人に「ズク」はなくていいんだけど(笑)、「ズク」があるやつと仲良くできるかどうか。 あと、その人たちを大切にできるかどうか。俺もちゃらんぽらんだけど、ギリギリまでやりきるエネルギーはあるからね。

馬田:そういう仲間作りは大事ですね。それと、企業単位で言うと、面倒な仕事を引き受けるスタートアップの方がハネるという話もありますね。

落合:それはハネますよ。ブルーオーシャン戦略って、わざわざそういうところを通ってこそ。 一見面倒なことを淡々と処理するためのタスク管理をやれるか。どんだけ人の頭を使わないで処理できるか。そこをITで処理しちゃうものって、みんな使うじゃん。だから、「黙々と、淡々と」やり抜くのが大事なんだよね。

馬田:ブルーオーシャンは、実は楽して勝てるような綺麗な海なんかではなくて、本当はとてもしんどい領域なのかもしれませんね。でも普通の人はひるむほどの大きな課題がある領域や、「明らかに面倒」な領域のほうが取り組もうとする人は少ないのは確かです。 結果、競合も少ない。例えば、ここ数年で一気に成長したスタートアップに、ソフトウェア開発者にフレンドリーな決済システムを提供する「Stripe」という会社があります。簡単に使える決済サービスはソフトウェア開発者にとっては実にありがたい。でも、決済って、そうやって多くの人にありがたがられるのはわかっていただろうけれど、当時は「明らかに面倒」な業種でもあった。テクノロジーに精通した人たちは 「決済」と聞いただけで「ちょっとそれは……」と気後れするような。だからこそ、競合が少ない中で戦えたわけで。

日本の痛手は「イノベーション」の大誤訳に一因あり

馬田:多くの研究開発系スタートアップで問題になってくるのは、準備段階のシード期の「死の谷」でアイデアを実用化させる前に倒れてしまうこと。技術やアイデア自体にはそれなりにインパクトがあったんだけど、残念、ということになりかねません。

落合:ディプロイ(展開)していかないと。ディプロイ可能かの議論がなされないままやるからなぁ……。

馬田:MIT Media Lab なんかも、「デモ or ダイ」から最近は「ディプロイ or ダイ」にモットーを変えてきていると言いますね。技術的な「インベンション」(発明)をデモして見せるか死ぬか、の時代は終わって、技術や発明をちゃんと使えるレベルまで実用化して、社会にディプロイしていくかそれとも死ぬか、という時代になっている。それって本来的な意味での「工学」の帰還とも言えるんじゃないでしょうか。(研究者の)ナシーム・ニコラス・タレブの言葉を借りて言えば、実用化される前の発見や発明は「半発明」なので、みんなが思い浮かべる発明だけじゃ実はまだ半分なんですよね。医学の世界では、治療法の発見から実用化までずいぶん時間がかかった例がありますが、本来は発見された治療法を実用化して広めないと価値が発揮されません。

研究開発を元にしたスタートアップが受け持つのは、主に半発明を実用化してちゃんとした発明にする部分、つまり新しい発見に価値を見出してくれる顧客を見つけて広げていく部分です。技術的な発見や発明はもちろん大変な飛躍です。でもそのあとに来る、実用化やディプロイの方法にも実は大きな飛躍が必要で、だからこそ多くのスタートアップは死んでしまうのですが、発明を実用化したり社会実装したりするプロセスは日本では少し軽視されてしまうところがあるように思います。「イノベーション」って、技術的な革新という限定的な意味で捉えられがちですが、本当はもっと広い意味がありますよね。

落合:そうなんですよ。それなのに、技術的なことだけが「イノベーション」だっていう誤解があって。それで最近、僕はツイッターでおじさんに絡まれまして(笑)。1年に1回くらいそういう絡み方をされるんだけど。

馬田:どう絡まれたんですか?

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落合:なんか、「シリコンバレーがすごい、すごい、みたいな話は眉唾だ」「21世紀になってから、アホみたいにお金が飛び交ったけれど、自動車とか高速鉄道とかに匹敵する何かが生まれましたか?」みたいなことを言ってこられたので、僕は「20世紀と21世紀のGDPの伸びを比較すれば、まだ始まって17年の21世紀の伸びの方が顕著であって、実際にディプロイして、それが束になってイノベーションになっちゃったケース、スマートフォンもそうですが、そういうものの方が価値が高いということに、たぶんシリコンバレーが気付いたんじゃないか、という意味合いのことを返したら、「じゃあ日本では、ここ20年ぐらいGDPが伸びていないけれど、技術革新はなかったということ?」っていう具合で、僕は「ん?」と。

そこで気づきました。ああ、この人は、インベンションとイノベーションを勘違いしている上に、「技術革新=テクニカルイノベーション」という風に、字面で意味を捉えているんだなと。逆に今の世界企業のランキングを見たって、10位までのほとんどはIT企業だし、それは自動車会社や鉄道会社の企業価値を超えていっている。1日の時間でIT機器を使っている時間の方が多くないですか? って感じ。

馬田:確かにピーター・ティールなんかも、初期のiPhoneは1つの独占の条件である「複雑な組み合わせと調整」を満たしたと。「技術的にはさほど新しくはないけれど、組み合わせというところで独占をうまく果たせた例だ」って挙げています。

落合:あれはイノベーションですよ。シリコンバレーのGDPは、ブイッて上がっているんだから。イノベーションって、そもそも経済用語だし。なんらかの経済効果がある施策、価値創造につながる施策のことを指している。

馬田:今さらですが、経済学者のシュンペーターは「イノベーションの5分類」という形で、しっかり技術的な部分以外も言及されていますよね。「新しい生産物や品質の創出と実現」だったり、「新しい生産方法の導入」というのも含まれているけれど、技術的な革新だけを主眼にはしていなくて、「産業の新しい組織の創出」や「新しい販売市場の開拓」っていうこと自体もイノベーションだと指摘している。

落合:これね、「イノベーション」を日本語に置き換える時、「技術革新」と訳した時点で日本は終わったなと。1958年の経済白書に、イノベーションのことを「技術革新」と書いちゃったんですよ。あれは誤訳。「情けは人のためならず」みたいな感じで、字面の見た目と意味が一致していない。馬田さんが本で、スタートアップの思考として「反直観的で不合理なアイデアが相応しい」と書かれていますが、それはイノベーションの本質でもある。それを説明しないとならないのは、たぶん、日本人がイノベーションを「技術革新」という字面で捉えていて、生み出すものに「合理性がないといけない」みたいに思い込んでいるからだと思う。その誤解をぶち破っていかないと、成長しないし、社会問題も実装可能な形の解決をしない。これを社会体制のせいにする論調はただの思考停止に過ぎない。むしろ、スタートアップの側がここから20年で日本の社会問題をサステーナブルに解決していく時代なんだと思います。既存の資本にどうやって接続するか。高度に発達したインフラの上に革命は必要ない。いるのは「価値の付け替え」と「ビジョン」であって、発明を待つことじゃない。

スタートアップに必要なのは「気づく力」

渋谷の雑踏

馬田:とはいえ、テクニカルなイノベーションがイノベーションとそのままつながっているような時期もありましたよね?

落合:エジソンの発明から始まるような電化製品なんかはそう。20世紀は、少なくとも1950年代から80年代くらいまでは、テクニカルなイノベーションが不足していたからこそ、それがイノベーションに直結していた。それが近代の象徴とも言えます。だから、日本においても、誤訳による用語のブレがさほど問題になりにくかったのかもしれない。その意味で、いまだに近代を卒業していない分野といえば、創薬やバイオかな。大きい設備とガチガチの法令と巨額投資で進んでいくしかない。

でも、1990年代を越えたら、多くの領域で近代は卒業ということになった。コンピュータによってコモディティ化が加速し、 インターネットで人と人のコミュニケーションコストが下がったから、アイデアや技術なんかは持っている人同士を繋げば良くなった。そういう世界では、時代の速度よりも遅い進捗は、「いくらやってもゼロ」になる時代になったわけで、 何を勉強したら何になれますか? っていう時代は終わった。やり出したら勉強と実装が同時にスタートする。その世界はユルいというか、まあ逆に厳しいとも言えるんですけれど、反直観的な世界で勝負できるITイノベーションみたいなところは、その背後に積み上げがなくてもいい場合もあるし、若い人たちに向いている。字面上の技術革新、つまりテクニカルイノベーションがイノベーションとは限らないという、脱近代に突入したってことだから。

馬田:Twitterなどに投資したことで有名で、多くの投資家から尊敬されるVC の一人であるユニオン・スクエア・ベンチャーズのフレッド・ウィルソンがお勧めしている、「ネオ・シュンペーテリアン」の経済学者カルロタ・ペレツの著書『Carlota Perez, 2003, Technological Revolutions and Financial Capital: The Dynamics of Bubbles and Golden Ages 』には、技術革新のフェーズをグラフ化した「Sカーブ」っていうのを載せています。彼女の最近の論文でも、ITに関しては2000年辺りまでが爆発的に「技術」がインストールされるフェーズで、それ以降、つまり今はディプロイメントのフェーズだと。

馬田隆明さんのS字カーブ

提供:馬田隆明

落合:このカーブ、わかりやすい!

——1回目でも話していただきましたが、最後にこれからの学生、20代はどんな発想をしていけばいいのかお聞きしたいのですが…。おふたりは、学生が出してくるアイデアの方向づけをする際に、「ダメ出し」もされますか?

馬田:しますよ。学生のサイドプロジェクトを50個ぐらいは回してきたんですけれど、やっぱり、「どこかでみたことあるのはやめておこう」とは常々言うようにしていますね。

落合:ダメ出し? いっぱいするよ。イケていなさそうなアイデアは、「それはちょっと、エモくないなあ」とか。

馬田:じゃあ、どこに「ここで攻める」という点を置くかがポイントなんですけれど、スタートアップでは、アイデアは考えるものじゃなくて「気づくもの」だと言われているんです。だから、「気になる」という感覚を大事にしたらいいと思う。チャットツールのSlackの場合も、創業者が、あまりにも膨大な量のメールが届く状況を「終わってる」と気づいたことから始まっています。みんなが気づいていないけれど、自分だけが気づけることがある。経営学の始祖と呼ばれるドラッカーは、「イノベーションに対する最高の賛辞は『なぜ自分には思いつかなかったか』だ」って言っています。

落合:その感覚を研ぎ澄ますためにも、サーベイ、つまりこの世界で誰が何をやっているかと調べ続ける作業は絶対に必要。うちの学生には、「最初にマップを作って」と言っている。まずは、「ここもここも、誰も攻めていない」という領域を確認し、なんで他の人は着手できないのかという理由を分析する。そこで自分が倒せそうなところがみつかれば、そこを重点的に倒していく。大事なのは、これまで言われている競争心みたいなもの、レッドオーシャン的な考え方をいったん捨ててみること。そして、「これが自分の信じる道」というのを淡々と進んでいくっていう、ブルーオーシャン的な思考に切り替えたほうがよい。

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馬田:私は、「多数の好き」よりも「少数の愛」を得られるプロダクトを作ろうと言っています。Y Combinator でも、多くの人がほどほどに好きになるプロダクトよりも、一部の人が深く愛してくれるプロダクトのほうが、のちのちスケールすると言われています。スタートアップでは顧客が航海の羅針盤です。

落合:僕自身、「くっそー、エジソンが憎い!」とジェラシーをたぎらせるほどエジソンが大好きで、その愛だけで突き進んでいるようなもの。他の人にとっては、エジソンなんてどうでもいい話かもしれないけれど、オーディオとビジュアルの世界を突き詰めている俺からしたら、「なんだ、エジソンがやってたことって、今まさに俺がやっているメディアアーティストじゃん!」「エジソンの言ってたことって、むしろ今の時代にこそ図星じゃん!」ってことだらけで、掘れば掘るほどやりたいことが湧き出してくる。

エジソンは「あるべき電気供給の形は直流だ」っていった人なんだよね。今はパソコンもスマホもみんな直流。ノイズ発生が少なくてデジタルとの相性がいいから。むしろ直流世界に我々が生きてることが、今は歯がゆいよね。USBアダプタが家にたくさんあるし。いっそのこと、エジソンが言っていたように直流給電系に揃えません?っていう勢い。その辺、すべての産業は未来という全員にやってくる商品に関するアービトラージ(裁定取引、同じ価値を持つ商品の価格差を利用して利ざやを稼ぐ取引)とも言えるんだけど、自分の寿命より先を見ちゃうとエジソン的になって現世では回収できなくなっちゃう。でもこれは、どんどん時代が加速しているから時間の問題は圧縮されていく。エモい。

馬田:最初はギークしか使っていなかったインターネットやスマホが、いまや、誰もが持つ時代ですからね。飛びぬけて頭のよい人が週末にやっていることが、10年後の「フツウ」になる。その10年後の「フツウ」が偏在する環境が大学にはあるんじゃないかなと。だってここには技術と若者と彼らの仲間、そして彼らが挑戦して失敗できる環境があります。未来のFacebookとかGoogleが日本から生まれるか?と問われれば、たやすくYESといえる状況にはないけれど、私はまだ可能性があると信じている。だからこそ、そんな中で楽観的な未来を掲げてたくさん挑戦することや、挑戦する人を応援することが重要だと思っています。これからはひとりひとりが自分固有のエモさや気付きを軸足にしながら、大量にサーベイできる体力を維持し、マイルドなカルトに賛同してくれる仲間と一緒に挑戦と行動を繰り返して、世界の偶然性に身を晒し続ける。それが次の時代の生存戦略なのかもしれませんね。

(撮影:今村拓馬)


馬田隆明:東京大学産学協創推進本部 本郷テックガレージディレクター。日本マイクロソフトでの Visual Studio のプロダクトマネージャー、テクニカルエバンジェリストを経て、スタートアップの支援を行う Microsoft Ventures に所属。2016年6月より現職。近著に『逆説のスタートアップ思考』。

落合陽一:メディアアーティスト、筑波大学学長補佐 助教 デジタルネイチャー研究室主宰。Pixie Dust Technologies.Inc CEO。筑波大学でメディア芸術を学んだ後、東京大学で学際情報学の博士号を取得(同学府初の早期修了者)。2015年より筑波大助教。近著に『超AI時代の生存戦略』。

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