ナスダックよりも好調! アマゾンのエンジニアが始めた参加型投資ゲーム

ストックストリームの画面

ストックストリームでは、Twitchのプレーヤーがロバーツ氏の5万ドルを元本に、株式の売買を行う。画面は2017年6月29日夕方の様子

Screenshot/Business Insider

アマゾンのエンジニア、マイク・ロバーツ(Mike Roberts)氏は5月下旬、同社が提供するゲーム実況サイトTwitchに開設した自身のチャンネルで、ユーザー参加型のゲーム「StockStream(以下、ストックストリーム)」の配信を開始した。同氏が提供した5万ドル(約560万円)を元本として、プレーヤーに株式投資をしてもらう実験だ。

開始から1カ月経過した現在も、実験は好調だ。プレーヤーによる2125回の取引を経て、リスク分散型のポートフォリオを形成。現時点では、フォード、コストコ、アップル、GEなど多様な銘柄で構成されている。

「実際、ポートフォリオの運用は順調で、かなり驚きつつも、満足している」とロバーツ氏はBusiness Insiderに語った。

6月29日午後(現地時間)の時点で、ロバーツ氏の元本5万ドルに対するリターンは、0%付近で推移している。さほど好調には見えないかもしれないが、ここ1カ月で約1%下落したナスダック総合指数に比べ、パフォーマンスは良い。同時期に1.22%上昇したダウ平均株価よりは見劣りするが、それでもTwitchの結果は悪くない。

ストックストリームの仕組みはシンプルだ。5分ごとに投票ラウンドが始まるので、プレーヤーはそのタイミングでどれでも好きな株の売買に投票することができる。例えば「!buy AAPL(アップル買い)」もしくは「!sell TSLA(テスラ売り)」といったように、売買コマンドの後にティッカーを入力してコメントすると投票できる。その5分後に、最も票を集めた売買指示が、株取引アプリRobinhoodを通して実行される。

うまくいっていることはもう1つある。実はロバーツ氏は当初、ストックストリームの実験がいわゆる「荒らし」によって、台無しにされてしまうのではないかと懸念していた。現在、ストックストリームのポートフォリオは、ここ数週間の株式市場の混乱に耐え得るほどの強靭性を備えているようだ。

ストックストリーム取引状況

ストックストリームのポートフォリオ状況(6月29日の取引終了1時間後)。株取引アプリRobinhoodから無償で与えられた株式500ドル(約5万6000円)分が含まれている

Screenshot/Business Insider

それでもいたずら好きはいる。ロバーツ氏によると(確証はないが)、参加者が面白いティッカーシンボルを好んで買うケースがあるようだ。ProShares(DOG) やCheesecake Factory(CAKE)はそのいい例だ。他にも、アメリカで人気のおもちゃ「My Little Pony」のイニシャルとティッカーシンボルが同じであるMaui Land & Pineapple Company (MLP)や、オルタナ右翼が使う侮辱語 “cuck” に似たティッカーのクルーズ船運行会社Carnival(CUK)などは、ある種のジョークと捉えられているようだ。

だがこうしたいたずらに大した実害はなく、皆ゲームを楽しんでいる。ストックストリームは、ゲーマーに人気のチャットアプリDiscordのグループからも注目されてきた。

「大部分のプレーヤーはマナー良くゲームを楽しんでいる。最近は、特定の誰かをブロックする必要に迫られたこともない。Discord上のチャンネルでは、毎日さまざまな銘柄の値動きについて議論が交わされている」とロバーツ氏は言う。

[原文:An Amazon engineer let strangers play $50,000 of his money on the stock market — a month later, he's beating the Nasdaq

(翻訳:Satoru Sasozaki)

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