最新データによると、アメリカの出生率が過去最低を記録した。
Alexandre Meneghini/Reuters
長らく低下傾向にあったアメリカの出生率が、過去最低を記録した。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の最新データで明らかになった。
前年を1%下回った2016年の暫定データは、15〜44歳の女性1000人当たり62人の子どもが生まれることを意味する。
人口統計学の専門家らは、この出生率の低下がアメリカ経済の縮小の予兆ではないかと懸念している。
世界の多くの先進国では、男性中心だった労働力はより男女平等なものへと変化している。これらの国では、プライベートよりもキャリアを優先する男女が増えるにつれ、家族計画は二の次になっている。
その最も極端な例が、日本が直面する「人口時限爆弾」だ。実際、日本では人口の減少が始まっている。エコノミストは、この低出生率と景気低迷の悪循環を示す人口時限爆弾が、今後20年間で、1990年代後半の日本と同じような人口動態を持つ他の国に広がる可能性があると予測している。
専門家はこれを世界経済の「日本化(Japanization)」と呼んでいる。
アメリカの人口動態は日本ほど極端ではないものの、似たような推移を見せている。キャリアアップ、多額の学生ローン返済、両親からの経済的自立などを目指し、親になることを見送るミレニアル世代は増加の一途をたどる。
しかし、アメリカのケースで特筆すべきは、国家レベルでの育児休暇に関する政策の欠如だ。労働者に対し、有給の育児休暇を国家レベルで提供する制度を持たないのは、アメリカ以外に地球上で3カ国しかない。研究によると、それが低出生率の要因であることがわかった。なぜなら、ワークライフバランスの低下は夫婦に子育てとキャリアのどちらかを選択するよう強いるからだ。両立することはできない。
そのため、人口統計学者は世界の首脳に対し、出生率を上げたいと考えるなら、より家庭に優しい政策を実施するよう奨励している。
「職業人と母親の二役をこなす女性に最も適応できている国々は、興味深い結果を示している」
非営利調査グループGlobal Aging Instituteの会長を務めるリチャード・ジャクソン(Richard Jackson)氏は2016年、Business Insiderに語った。
「これらの国では、より高い出生率に加え、より多くの女性が働いている」
[原文:The US fertility rate just hit a record-low — and it could signal a 'demographic time bomb']
(翻訳:Keitaro Imoto)