オリンピック公園内にある水泳競技施設。5月20日に撮影。
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オリンピックを開催するメリットに関して、世界中で懐疑的な見方が強まっている。
AP通信が発表した2016年リオデジャネイロ五輪のコスト分析を見ると、五輪開催に慎重になるのは当然だ。
AP通信のレポートによると、リオデジャネイロ五輪にかかった費用は、公的資金と民間資金、合わせて130億ドル(約1兆4600億円)。
主な費用は、会場、地下鉄新路線、ドーピング検査施設の建設、港の改修、そしてグアナバラ湾の水質改善などだ。加えて、旧市街の湾岸地区の再開発に40億ドル以上かかった。地下鉄新路線の建設費は29億ドルで、25%上乗せされていたことも発覚した。
そして今また、リオデジャネイロも開催都市のほとんどが直面する大きな問題に頭を抱えている。開催後の会場の利用についてだ。
リオのオリンピック公園は、「国や地域の小規模なイベント」には活用されたが、それきりだとAP通信は伝えた。また、会場を民間に売却するために入札を行うという計画には、1名しか興味を示さなかったため頓挫した。
開催から1年も経っていないにもかかわらず、既に会場や施設の荒廃が報じられている。プールの水はオレンジ色によどんでしまった。開会式が行われたマラカナンスタジアムはゴーストタウンと化した。さらに国際オリンピック委員会(IOC)と市の間の管理責任をめぐる争いのために93万ドルの電気代が未払いとなり、スタジアムへの電力供給は停止されている。
では、オリンピックは何をもたらしたのだろうか? オリンピックには経済効果があるとされているが、多くの経済学者は「オリンピックの経済効果」に否定的で、リオデジャネイロにも無縁の話だった。現在リオデジャネイロ州では、教師や医療従事者への給料や年金の支払いが遅れ、市内の犯罪件数は記録的な水準となっている。
2020年東京オリンピックの費用が120億ドル以上に膨れ上がり、費用を理由にイタリアが2024年オリンピック招致を断念、という流れの中でAP通信のレポートは発表された。IOCがオリンピック開催地や開催方法の変更を余儀なくされる予兆になるかもしれない。
[原文:The Rio Olympics were a financial disaster and it keeps getting worse]
(翻訳:Yuta Machida)