ついに大統領側近が脅しまで。トランプ氏とメディア全面戦争突入か


不機嫌なトランプ

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米大統領府ホワイトハウスとメディアの関係は、まさに極限の状態に来ている。

「やめてください、とにかくやめてください」

6月下旬からは、大統領報道官による記者ブリーフィングにカメラ(スチール、テレビ両方)が入れなくなり、CNNが法廷の報道に使われる「法廷画家」を送り込む事態となっている。

トランプ大統領を支援してきた保守系タブロイド紙ニューヨーク・ポストですら7月1日、「トランプのツイート」と題する社説にたった1行、こう書いた。

「やめてください、とにかくやめてください」

新興オンラインメディア「Axios」のマイク・アレン氏が6月29日早朝に発信したニューズメールには、太字でこう書かれていた。

「現状は、正常ではない」

そしてこう続いた。

トランプ大統領を報じる新聞

Sean Gallup Getty Images

「24時間、毎日、ガラス越しに見ているようなおかしな出来事が降りかかってくる。(中略)トランプ大統領のツイートは過去24時間に、CNN、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、NBC、CBS、ABCに『フェイク・ニュース』とする集中砲火を浴びせ、メディアに危険な中傷を加えているが、こんなことはニクソン元大統領以来か? ニクソンが、24時間以内に偉大な報道機関6社を名指しで攻撃したことがあったか?」(Axios AM)

このニューズレターの約3時間後、ニュース専門局MSNBCの朝番組の女性アンカー、ミカ・バージンスキーさん(50)のことを、トランプ氏はTwitterでこうののしった。

「顔のしわ取り整形手術で、ひどい血を流していた」

「IQが低い、頭がおかしいミカ」

「彼ら(=彼女と同僚アンカー/婚約者ジョー・スカーボロー氏=54)が、私の悪口を言ったと聞いた(もう番組を見るな)」

明らかに、女性の容姿に対するセクハラ、朝のニュース番組を仕切るベテラン女性に対する差別、そして国家首脳による前例がない個人攻撃だ。同日予定されていた、文在寅・韓国大統領のワシントン訪問、議会にかかっていた重要法案など大ニュースが全て吹っ飛んだ。

「攻撃されたら、10倍返しするのです」

与党である共和党の議員さえ、数時間で批判のツイートを発した。

「もうとにかくやめてください。尋常ではありません。大統領執務の尊厳と品位にかかわります」(ベン・サース上院議員、ネブラスカ州)

「大統領閣下、あなたのツイートは、執務の品位にかかわり、米政治の悪い面を体現しています」(リンジー・グラハム上院議員、サウスカロライナ州)

「こんなことはやめるべきです(中略)尊敬と礼儀をわきまえるべきです」(スーザン・コリンズ上院議員、メイン州)

共和党の重鎮ポール・ライアン下院議長(ウイスコンシン州)はこれまで、トランプ氏を支援する立場を続けてきたが、会見でこう踏み込んだ。

「明らかに適切なコメントとは思えません。私たちが、ワシントンで目指しているのは、議論の中でも、トーンや礼節を高めていくということで、こんなことは、何の役にも立たないです」

ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース副報道官は、米メディアに対し、「大統領は、攻撃されたら、やり返さない人物ではありません」と反論。 メラニア・トランプ夫人もTwitterで、夫を弁護した。

「夫は、攻撃されたら、10倍返しするのです」

しかし、2人とも、セクハラと差別の正当化はできていない。

写真を撮られるトランプ

Mario Tama Getty Images

そしてついに、バージンスキーさんとスカーボロー氏は翌30日、ワシントン・ポストに寄稿し、爆弾を落とした。ホワイトハウスの幹部3人が、繰り返し電話やショートメッセージで、2人を脅したというものだ。幹部らは6月上旬、「トランプ大統領に批判的な報道について謝罪し、懇願しなければ、(タブロイド紙)ナショナル・インクワイアラーが2人にとって良くない記事を掲載する」として、2人の家族や親友にまで電話したという。2人は拒否し、同紙には、2人が結婚していながら、交際を始めたという記事を掲載した。

トランプ氏は、即時にTwitterで攻撃した。

「視聴率が落ちているモーニング・ショーを久しぶりに見た。フェイク・ニュースだ。彼(=スカーボロー氏)は、私にナショナル・インクワイアラーの件で、電話をしてきた。私はノーと言った。ひどい番組だ」

スカーボロー氏もTwitterで負けてはいない。

「またもや嘘だ。私はあなたのトップの側近からのショートメッセージと通話の録音を持っている。(中略)なぜ、あなたは、簡単に誤りと分かることについて、嘘をつき続けるんですか? どうかしているんじゃないですか?」

「資格監視委員会」設立を提案

このツイートは、バージンスキーさんとスカーボロー氏が、朝の番組を終えて数分後に発信されている。まさに異常事態だ。

民主党のジェイミー・ラスキン下院議員(メリーランド州)は同日、大統領が精神的、あるいは肉体的に「ふさわしくない」場合、罷免できるという法案の準備に入った。同議員は、医師と精神科医からなる「大統領の資格監視委員会」を設立し、彼らが大統領の健康診断ができるようにする案を同僚に根回ししている。委員には、大統領・副大統領・司法長官経験者も含む。

野党のこのような動きも、極めてまれだ。

バージンスキーさんは30日朝、番組でこう語った。

「私は大丈夫です。私の家族は、私をタフになるように育ててくれました。(中略)私は、この国のことが心配です」

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