アディダスの店頭でスニーカーを試し履きする客。ウクライナにて
REUTERS/Valentyn Ogirenko
アディダスが最近、活気づいている —— その快進撃を維持する計画もあるようだ。
市場調査会社NPDグループのデータによると、ドイツのスポーツ用品メーカーのアディダスは2017年3月、北米市場でのシェアを約6%から11%へとほぼ倍増させた。同市場での2017年第1四半期の売上高は31%増となった。
ところが、アディダスの北米市場での好調は頭打ちとのニュースが、お祝いムードに水を指した。
大手アパレルチェーン、フット・ロッカーのCEOディック・ジョンソン(Dick Johnson)氏は5月19日の決算発表で、「サイクルは減速していると考えている。スーパースターとスタン・スミス(ともにアディダスの人気スニーカーブランド)は長い間市場を形成していたが、波がある」と述べた。
しかし、アディダス北米部門の責任者マーク・キング(Mark King)氏によると、同ブランドの強みの1つは、流行が発生する前にそれを予測できることだという。
「社会や市場の動向を知る唯一の方法は消費者の声を真に聞くことだと、2年前に大きく方向転換した。多くの企業がその方法について議論しているが、我々は実際にそれをやっている」と5月、Business Insiderに語っていた。
現在、最も急速に成長しているスニーカーのトレンドは、「ライフスタイル・ランニングシューズ」だ。典型的なランニングシューズに似ているが、はるかにスタイリッシュなモデルだ。それを履いて走ることもできるが、多くの人はそうはしない。
アディダスのライフスタイル・ランニングシューズ「ウルトラブースト」
Facebook/Adidas
昔ながらのトレンドは廃れ、ライフスタイル・ランニングシューズが幅を利かせる中、アディダスはすでにこのカテゴリーにおいて、「NMD」や「ウルトラブースト」など数多くの人気モデルを発売しており、これらのスニーカーは同ブランドのベストセラーになりそうだ。
他にも最近、注目を集めている新商品としては、ウェス・アンダーソン監督の映画『ライフ・アクアティック』の劇中で登場した別注モデルと、ブログから人気に火がついたモデル「ジャーマントレーナー」だ。
アディダスは市場への投入スピードの改善にも取り組んでいる。
「スタイルに必要なのは、新しさだ。我々はより多くのシリーズを必要としており、新しく斬新であり続けなければならない。適切な商品を適切なタイミングで市場に投入すること……これは本当に魔法なんだ」とキング氏は述べた。
つまりアディダスの製品は常に新しく、流行の最先端にあり、特定のジャンルやスタイルに依存することはほとんどない。例えばアンダーアーマーは、「アスレジャー(アスレチックとレジャーを組み合わせた造語で、フィットネスウェアやヨガウェアを、普段着として着用するファッションのこと)」いう大きなトレンドを見逃し、現在市場に「流行の靴」を提供できていない。
ナイキ、特に同社の「エア・ジョーダン」シリーズは、そのスタイルが支持を失ったまま低迷している。ナイキは現在、変化するトレンドに迅速に対応するべく、アディダス同様、スピードに力を入れている。
[原文:Adidas has a secret weapon to beat Nike — and it's just about ready to deploy it]
(翻訳:本田直子)