ナイキは直近の決算発表で市場の予測を上回ったが、すべてが順調ではない
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ナイキは6月29日(現地時間)に公表した決算発表で、市場の予測を上回ったかもしれない。しかし問題の解決にはまだ遠い。
中国と新興市場での成長が世界的な売り上げを押し上げたが、中核の北米事業は前年同様、低迷したままだ。
これは、世界最大のスポーツウェアメーカーにとって、良い兆しではない。北米は依然としてナイキ最大の市場であり、アディダスのようなライバル社との競争が最も少ない市場だ。一部の業界アナリストは懸念を示している。
市場調査会社NPDグループのスポーツ業界アナリスト、マット・パウエル(Matt Powell)氏は、「ナイキの北米事業の低迷を危惧している」と金融メディアのベンジンガ(Benzinga)に語った。
売り上げが横ばいだっただけでなく、小売業者の需要を測る重要な数値指標である販売見込みも10%まで落ち込んでいる。ナイキが卸売から小売へシフトするにつれ、この数字はあまり重要ではなくなってきているが、それでも一部の店舗でナイキ商品の販売が難航していることを示している。
「わたしの目には、ナイキは今、かつてないほど価格を下げているように見える。この業界は価格ではなく、憧れやひらめきで成り立ってきたものだ」とパウエル氏は述べた。
ナイキは業績低迷を受け、事業再編の真っ只中だ。同社は、ニューヨークやパリなどの世界主要12都市の重点化や事業の効率化を盛り込んだ戦略「コンシューマー・ダイレクト・オフェンス」の一環として、約1400人の従業員を解雇し、業績の改善に努めている。
[原文:Nike's core business is facing a 'disturbing' decline (NKE)]
(翻訳:本田直子)