国際通貨基金、トランプ政権の経済政策に冷や水を浴びせる

ラガルド専務理事

IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事。

Handout/GettyImages

国際通貨基金(IMF)は6月27日(現地時間)、アメリカ経済に関する報告書を発表した。トランプ大統領の政策に対する最新の評価となるものだが、その内容は素晴らしいとは言い難い。

IMFは報告書で、アメリカ政府に教え諭すように、社会政策に関する助言をしている。そういったアドバイスは、これまで新興市場国に対して与えられていたものだ。

また、IMFは2017年と2018年のアメリカの経済成長率予測を、2017年4月時点の予測から下方修正。2017年については2.3%を2.1%、2018年は2.5%を2.1%とした。

しかしこれは、IMFが発する警告の1つに過ぎない。

IMFのアメリカ調査を率いるナイジェル・チョーク(Nigel Chalk)氏はワシントンで行われた記者会見で、「所得格差と高い貧困率によって、アメリカ経済は圧迫されている」と述べた。

報告書は、「最も弱い立場にある人々をさらに支援するために、連邦政府ならびに州政府レベルで社会政策を改善する余地が大いにある。託児にかかるコストと施設の不足も就労の妨げとなっている。また、ひとり親世帯の4分の1が貧困状態にあることも懸念される」と指摘している。

生活水準の向上というアメリカン・ドリームは終わりを告げたのではないかとの議論が続く現状を反映させながら、IMFは「社会的地位を向上させられるとの見通しは薄れている。貧困率13.5%という数字は、先進諸国の中でも最も高い水準にある」と述べている。

生活水準指標

International Monetary Fund

IMFは、トランプ政権と共和党が提案している、低所得者向けの公的医療保険「メディケイド」への拠出の大幅削減案についても、静かな表現だが激しく非難している。同案は、1400万人が健康保険を失う事態を招きかねない。IMFはまた、金融規制緩和の危険性についても警鐘を鳴らした。

「医療保険政策は、金融危機以降に(とりわけ所得分布の下部に属する人々に対して)拡充された適用水準を維持すべきだ」とIMFは述べている。金融をめぐる規定に関しては、「規制、監督、解決への現在のアプローチを継続すべき」とした。

IMF報告はさらに視野を広げ、トランプ政権の経済政策が、医療保険改革とロシア疑惑をめぐる政治的な混乱によって頓挫していることにも触れている。

Macroeconomic Aggregates

International Monetary Fund

トランプ政権の予算案については、「財政赤字ならびに債務の削減、公共投資の優先順位の見直し、税制の刷新を提案している」とした上で、「しかし、4条協議(IMFが通常年に1回実施する加盟国の経済政策に関する包括的な協議。IMF協定の第4条で規定されている)において、それらの政策案はその詳細の多くがいまだ未定であることが明らかになった。IMFのマクロ経済見通しは、こうした政策の不確実性を受け、既存政策のベースラインに基づいて予測された」としている。

つまり、税制改革、インフラ支出、規制の全面見直しは当分期待できないということだ。

トランプ大統領は、経済成長を現在の2倍以上となる年4%に引き上げるとの公約を掲げた。その後、同政権の経済チームが3%に下方修正したが、IMFはこの数字も疑っている。「成長率は今後、潜在成長率の1.8%付近で落ち着くと予測される」

[原文:A damning new IMF report pours cold water on the entire Trump agenda

(翻訳:遠藤康子/ガリレオ)

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