Clinton Steeds/Flickr
テック業界の男性の大多数は尊敬に値する人々で、彼らは同僚女性がセクハラや差別を受けていることに憤慨している。
同時に、業界内で女性がどんな扱いを受けているかを聞いて、驚く者もほとんどいない。
なぜシリコンバレーに、女性を不当に扱う男性がこれほど増えたのか。Facebookで経験を積んだある男性エンジニアの解説は、この数週間で聞いた中で最も説得力のあるものだった。大学を卒業したばかりの若いエンジニアたちにシリコンバレーが支払う巨額の給料が、彼らを勘違いさせてしまうという。
「21歳で、はい契約金10万ドル(約1132万円)です、という世界です。自分はイケてると、勘違いするんですよ。今まで自分には見向きもしなかった女でも皆、今なら自分を尊敬するだろうと」
それと共に、特権意識が生まれる。
数年前まで、大手テック企業の契約金が10万ドル超というのは、ありふれたとまでは言わないが、割と見聞きする話だった。さらに、若いエンジニアを他社から引き抜こうと、目が飛び出るような報奨金を提示する企業も多い。給料だけでなく、ボーナスやストックオプションの価値も含めれば、その額は80万ドル(約9056万円)にもなると、あるスタートアップのCEOは言う。
もっとも、テック業界の職場における特権意識的、性差別的な行為に影響を及ぼしている要素は「金銭」だけではない。
テック企業は無料の食事のほか、ビールなどのアルコール類や寝袋まで従業員に提供し、社外より社内で長い時間を過ごすようプレッシャーをかけることも「お約束」だ。その結果、職場は大学の学生寮のようになりかけている。
さらに、「ブリリアント・ジャーク」(優秀だが嫌なやつ)の存在もある。エンジニアの文化は、言葉のいじめで悪名高い。彼らの間では、個人の知性をディスるのはよくあることだ。数人で1つのプロジェクトのコードを書き、さらに他の数人でそれを見直す、という環境であればなおさらだ。
そして何よりも、上層部に女性がほとんどいない。テック企業の女性上級管理職の割合は、20%未満。なおかつ、ほとんどの女性従業員は人事や法務、経理など非技術部門に在籍している。
この業界で出世する者の多くは男性のエンジニアだ。そして彼らが、特権意識や非友好的なカルチャーを強める。
より多くの女性が声を上げることで、現状が明らかになり、業界が変わることをこの業界で働く人の多くが期待している。だが、報酬の不均衡が根本的に解決されない限り、本当の意味で変わることはできないだろう。
[原文:A male engineer explains why so many men in Silicon Valley behave so badly toward women]
(翻訳:Ito Yasuko)