グルメサービスRettyアジア都市参入へ、月間利用者数3000万人を機に

実名型グルメサービス、Rettyが月間利用者数3000万人を突破した。同社は2017年6月に麻布十番の新築商業ビルに新社屋を移転したばかり。勢いに乗るRettyを率いるのは、1983年生まれ、ミレニアル世代の経営者・武田和也だ。Rettyの「いままで」と「これから」を取材した。

Retty代表取締役・武田和也

CEO兼「焼肉担当」武田和也。Rettyには自分が得意なグルメジャンルを「認定」してもらい、名刺にも載せられる制度がある。

おいしいエリア求めて6回のオフィス移転

武田が創業パートナーで取締役でもある長束鉄也とRettyを起業したのは6年前。2011年、つまり東日本大震災の年だ。2011年の年明けから『よくわかるPHPの教科書』を読みながらサービスをこつこつ作り上げてサービス開始に漕ぎ着けたのは半年後。当時の資本金は400万円、震災の影響の中で日本中が混乱の中にあった。

これでいけなかったら(事業を)つぶす

六本木の端っこにある5畳半のマンションの一室でサービスを開始した。

Rettyのオフィス内の写真

オフィスには、Rettyが歩んできた歴史の写真が並ぶ

開始当初のコンセプトは、”店を探す人のためではなく、とにかく口コミを書いてくれる人のためのサービスにする”こと。

口コミを書いたお店をリスト化したり、リアクションが受けられるような機能をつけ、継続的に口コミを書きたくなるようなユーザー体験を提供。それに加えグルメブロガーにもアプローチし、コミュニティの活性化を図った。

ユーザーのオフラインでの交流も重要視している。創業から今でも年に1回は「Retty Night」として感謝イベントを主催。サービス開始5周年の昨年は横浜で開催、約100人のユーザーが一堂に会した。

「2011年はSNSの良さに多くの人が気づきはじめ、人の発言やつながりが可視化されるインフラが整ってきていた。情報は自分が信頼している人や好みが近い人から得るようになる、と確信していた」

その後、人員の増加に合わせてオフィス移転を6回重ねた。狙った先は、六本木、築地、広尾など、グルメで有名なエリアばかり。社員の食事代を会社が負担する「グルメ調査費」「ランチタクシー制度」など、ユニークな福利厚生制度を持つRetty。文字通りそのエリアを「喰べつくす」度に移転を繰り返してきた。

麻布十番のRetty新社屋

広々としたコワーキングスペース風の社内。居心地がよいので、ここでノマド的に仕事をする社員も多いそう。

20代女性ユーザーに強み

2015年5月、4年かけて月間利用者数が1000万人を突破した。

そこからの成長は早い。”口コミを書く人のためのサービス”から”見る人にも便利なサービス”に。掲載店舗の口コミ数や写真の数を増やした結果、広告に頼らずともユーザー数は急増した。

ユーザーの平均年齢が他のグルメサービスより若いのも特徴だ。特に最近は20代女性ユーザーが増えている。

収益モデルは、飲食店向けの集客支援と広告の2種類。近年事例が増えてきたジャック広告(Rettyの広告枠全体を使った企業広告)には、サントリーや大正製薬、ネスレなど、ナショナルクライアントが名を連ねる。

すべてが計算通りに運んだのか?

武田に質問すると、そうではないこともあるという。例えば、サービス開始当初はスマートフォンはアプリが主役と目され、武田も最終的にはアプリだけでサービスが完成する時代が来る、と考えていた。しかし、現在でもウェブ版Rettyはサービス規模拡大のために極めて重要な流入元になっている。

まとめ記事のニーズも予想外だった。「情報が多すぎて何を選べばいいかわからない」というユーザーに信頼できる情報を提供するため、2017年2月にはRettyグルメニュースをスタートした。

「駅から遠い5000-6000円のバルビストロ」が増加

Retty上のユーザー動向から、最近のグルメトレンドも見えてくる。

まず、店の人気に火がつくスピードがどんどん早まっているということ。ここ2、3年は特に、戦略的にフォトジェニックなメニューを持った店が人気になりやすい、と感じている。

コスパが良い店のレビューも増えた。いまは「駅から遠い5000円-6000円のバルビストロ」の増加が顕著だ。SNSの発達で、駅前立地ではない店でも良いサービスを提供していれば良い口コミが広がるようになった。その結果、かつては8000円-10000円くらいしたような店の平均顧客単価が下がっている印象がある、と語る。

海外狙い拡大させていくフェーズへ

Rettyサーバー室

サーバー室はあえてのガラス張り。BUSINESS INSIDERでも何度か取り上げている、NVIDIA社のグラフィックボードを複数枚使った深層学習用マシンとしてセットアップしてある。

現在の従業員数はアルバイトを含め170人ほど。デザイナー、エンジニア、ディレクターなど、サービス開発の人材が6割を占める。

「フェーズは確実に変わった。いまのサービスを伸ばしていくところと、新しい事業を拡大させていくところ、どちらも注力しなければならない」(武田)

新しい技術を自分たちで実験しながら作り上げていくという社内カルチャーを加速するため、近年は深層学習(ディープラーニング)を開発・運用するための専用サーバーを自社内に持つ。ここで開発した技術は、実際にRettyの画像の処理や分類に使っている。

武田は言う。

「いま、アジアのある地域での海外展開に力を入れています。日本でスタートした時と同じように、まずは口コミを継続的に書いてくれる人を意識的に増やす。軌道に乗ったら、飲食店支援事業で収益化していきたい」

TIMA5632

オフィスには、ユーザーの「体験」を切り取った写真が飾られている。これまでも、オフ会などのイベントを盛んに行い、ユーザーとのコミュニケーションを大切にしてきた。

ユーザー体験ももっと良くしていきたいと考えている。取り組もうとしているのは「人と人とのつながりのなかに新しい体験を起こしていくこと」。

たとえば、Aさんの口コミを見て店に行ったBさんに対して、「Aさんの紹介だったら」ということで店側がお得なサービスを提供できるような仕組みが実現できないか?などと日々構想している。

「広告」と「広告でないもの」の境目がかつてなく曖昧になったいま、わざとらしくならない「口コミ」をどうデザインするか。Rettyのビジネス拡大にはおそらくそこがカギになるはずだ。

(本文敬称略) (撮影:今村拓馬)

関連記事

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

Recommended

Sponsored

From the Web