弾劾リスクは高まっている。
Getty Images/Pool
トランプ大統領の「弾劾」について、考慮すべき時がきた —— 。金融大手シティグループのアナリストは、そう考えている。
同社で国際政治のチーフアナリストを務めるティナ・フォーダム(Tina Fordham)氏は、トランプ大統領の弾劾の可能性はまだ低いものの、大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、一連のロシア疑惑に関するメールを公表したことで、その可能性は高まっていると言う。
トランプ・ジュニア氏は2016年6月、大統領選をめぐり、ヒラリー・クリントン民主党候補に関する不利な情報を得ようと、ロシア人弁護士と会合を持った。一連のメールは、トランプ・ジュニア氏とその会合を仲介したとされるパブリシストのやり取りだ。
「トランプ・ジュニア氏や、義理の息子ジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)氏を含むトランプ陣営の中核を担ってきたアドバイザーたちが、ロシア人弁護士(人権侵害を制裁対象とする2012年の『マグニツキー法』に反対、ワシントンでロビー活動を行っていた)と会合を持ったことを示唆するこの新たな展開は、大統領弾劾の可能性を高めるか? もちろん判断するには時期尚早だが、前例がないとはいえ、弾劾手続きが行われる可能性は以前よりも高いと考えている」フォーダム氏は公表したメモの中で述べた。
その上で、「弾劾に向けて最も大きな壁となり得るのは、共和党だ。共和党議員は、トランプ大統領のロシア疑惑に関する報道に悩まされてはいるものの、両院で共和党が過半数を占めている現状からすると、彼らが大統領を弾劾するとは考えにくい」と続けた。
「つまり、共和党議員の重鎮がトランプ政権に対する懸念を示していても、中間選挙が約1年後に迫った状況で、自らの政党から出た大統領に対する弾劾手続きを進めることは、まずあり得ないことであり、政治的なコストも高すぎる」
とはいえ、今回のメール報道により、共和党の政策課題の立法化は停滞することになるだろう。すなわち、税制改革や景気刺激策の推進、オバマケアの廃止と代替案の立法化といった課題は、共和党が期待するほどの進捗が望めないということだ。
シティグループのアナリストは、相次ぐトランプ政権のロシア疑惑報道により、今後の選挙における共和党のブランドイメージも打撃を受けるだろうと見ている。
「弾劾手続きがまったく進まないこともあり得るが、共和党と11月28日の中間選挙で再選を目指す共和党員のイメージにダメージを与えるリスクは、慎重に考慮すべきだ」とフォーダム氏は指摘する。
[原文:CITI: Trump's 'risk of impeachment' is higher after the Donald Trump Jr. email bombshell]
(翻訳:仲田文子)