Thomson Reuters
ビットコインの価格は昨年から250%以上、上昇した。しかし、この仮想通貨を決済方式に採用する大手業者は減少している。
モルガン・スタンレーのジェームズ・E・フォーセット(James E Faucette)氏率いるアナリスト・グループが7月12日(現地時間)に公表したメモによると、「ビットコインの受け入れ率はほぼゼロで、縮小を続けている」と言う。
同社によれば、ビットコインは昨年、オンライン業者大手500社のうち5社で決済方式として受け入れられていたが、現在は3社に減っている。
「価格は急激に上昇する一方、決済方式としては、ほとんど受け入れられていない。このギャップには目を見張るものがある」とアナリストらは述べた。
モルガン・スタンレーは、ビットコインの取扱業者が減少している理由として、次の3点を挙げた。
1つ目の理由は、ビットコインの価格上昇そのものと関係がある。仮想通貨の所有者たちは、さらなる価格上昇を期待して、手元のビットコインを支払いに使いたがらない。これは、ビットコインが商品やサービスを購入するための決済手段ではなく、主に投資手段として機能するというモルガン・スタンレーの過去の主張を支持するものだ。
また、取引に時間とコストがかかる、ビットコインのスケーラビリティの問題も、決済方式としての魅力を欠くもう1つの理由と見ている。
そして、業者にビットコインを決済方式として認めさせる、ビットコインのインフラ管理者たちからの圧力が足りていないことが、3つ目の理由だ。
「ビットコインのエコシステムでは、決済方式としての普及を目指す地道な取り組みよりも、相場に焦点が置かれてきた。仮想通貨による決済を新たに受け入れるよう、業者と交渉するよりも、投機的な売買をする方がずっと簡単だからだ」
そして、モルガン・スタンレーのメモは指摘する。多くの業者がビットコインを決済方式として認めることに興味がない一方で、仮想通貨を支えているテクノロジーは自社のインフラ強化のために活用できると感じている、と。
〔原文:MORGAN STANLEY: 'Bitcoin acceptance is virtually zero and shrinking'〕
(翻訳:一柳優心)