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中国最大のECサイト「タオバオ(淘宝)」を運営するアリババグループが、7月8日から12日まで杭州で開催した「90後」(1990年代生まれ)の若者をターゲットにした大規模イベントで、無人スーパー「淘咖啡(TAO CAFE)」のコンセプト店舗を披露し、中国メディアが一斉に報じている。アメリカではアマゾンが無人店舗「Amazon Go」の開発を進め、大きな注目を集めているが、中国でも無人スーパーを展開するスタートアップが登場したことに加え、アリババが同業態への参入意思を示したことで、無人店舗のトレンドが加速しそうだ。
中文網、 搜狐科技 などによると、「淘咖啡」を利用するために、消費者はスマホのアプリからQRコードをスキャンして、「入店許可証」を取得する。その際に表示される店舗利用に関するルールに同意することで、店舗の中に入ることができる。
商品を手に取ったら、決済ゲートに向かう。ゲート通過時には、スマホを取り出すことなく、商品代金がモバイル決済アプリ「アリペイ(支付宝)」から自動的に差し引かれる。
店舗には、人の顔を認識するシステムも導入。実際の利用方法を紹介した以下の動画では、1つの商品を2人が同時に手に取った後、1人に譲ったケース、持参した袋に詰めて決済ゲートを通過するケース、入店後にサングラスをかけたケースなど、さまざまなシチュエーションで自動決済が機能するかが検証されている。
淘咖啡には、その名の通り、カフェも併設されており、人の顔を識別する撮影機の前で商品名を告げると、注文した商品が自動的に提供される。ここでもアリペイのアプリを起動する必要はなく、自動的に代金が差し引かれる。
イベントに登場したアリババの張勇(ジャン・ヨン)CEOは、淘咖啡の具体的な開業時期などについては言及しなかった。
アメリカではアマゾンが、無人店舗「Amazon Go」の展開に乗り出す一方、小売業最大手のウォルマートが、独自のモバイル決済システム「ウォルマートペイ」を導入したり、オンライン注文のセルフ商品受け取りシステムを構築するなど、「オンライン」と「オフライン」企業の戦い、あるいは融合が大きな注目を浴びている。
中国でも「無人スーパー」への注目が急速に高まっており、スタートアップの繽果盒子(Bingo Box)が今年6月、上海拠点のスーパー欧尚(オーシャン)と手を組んで、上海に中国初の無人スーパーを開店した。今月、1億元の資金を調達した繽果盒子は、中国で5000店舗の無人スーパーを展開する目標を掲げている。