ウーバー(Uber)、Airbnb、Snapchat、スポティファイ、Slack...。
いま世界を席巻しているこれらの企業は「ユニコーン企業」と呼ばれる。ユニコーン企業の定義は「株式未公開(未上場)で時価総額が10億ドル(約1110億円)を超えるスタートアップである」こと。今年は多くのユニコーン企業の上場が噂され、「2017年はユニコーンの年」と記憶されるかもしれない。
【参考:Airbnbが注目するスポティファイの上場 —— 異例の上場方法のルール化をNYSEも検討か】
今年の夏のトレンドはユニコーン浮き輪⁉
Igor Fainstein / EyeEm by Getty Images
そんなユニコーン企業への注目度の高まりと共に、今世界中のミレニアルの間で爆発的に流行しているモチーフが「ユニコーン」。
ユニコーンとは「伝説上の一角獣」のこと。オンタリオ大学のイザベル・ピーダーソン(Isabel Pederson)教授がカナダ最大規模の日刊紙「トロント・スター」に語ったところによると、昨今の政治状況に不安を感じるミレニアル(1980年以降に生まれた世代)は、ユニコーンのイメージカラーであるカラフルなレインボーに「子ども時代のノスタルジアを反映している」のだという。
レインボーカラーといえば、LGBTQコミュニティーでも使われるなど多様性の象徴でもある。個性や自分らしさを大切にするミレニアル世代に「レアな動物」ユニコーンのイメージはピタリとハマった。
フェスでもユニコーンが大人気!
そこに近年の「ユニコーン企業バブル」が人気に拍車をかけた。カナダの作家・起業家であるアンバー・マック(Amber Mac)氏によると、ミレニアル世代にとってユニコーンは「デジタル社会における成功の象徴」と映る(2017年6月9日付「トロント・スター」)。
実際に、「デジタル社会の成功者」の象徴であるテスラCEOのイーロン・マスク氏も今年に入って自作のユニコーンイラストを披露した。「ユニコーンのオナラは再生可能エネルギーになる」という通説をシャレにして、「テスラ車はユニコーンのオナラで走る」ことを示唆したイラストをツイッターに投稿している。
「今日、テスラのsketch padで描いたよ」
【参考:イーロン・マスクが描いた、オナラをするユニコーンのイラストが深い】
空前のユニコーンブームを受けて、スターバックスは今年4月にアメリカ・カナダ・メキシコ限定で「ユニコーンフラペチーノ」を発売。4月19日から23日までの期間限定商品だったにもかかわらず人気が殺到し、1週間のうちにインスタグラムには約18万の「ユニコーンフラペチーノ」に関連する投稿がされた。ロイター通信の報道によると、その人気は「あまりの忙しさに多くのバリスタが苦情を入れた」ほど。
ユニコーンフラペチーノとユニコーンヘア
この「ユニコーンフラペチーノ」、実は訴訟問題まで持ち上がっている。ニューヨークにあるカフェ「The End」が、自社の商品「ユニコーンラテ」が模倣されたと主張。顧客を混乱させ、本家の影を薄くしているとして、スターバックスを相手取り民事訴訟に踏み切った。ユニコーン狂想曲は止まるところを知らない。
日本でも流行の兆し?
ユニコーンブームは今年、日本にも上陸しそうだ。ユニコーンマカロン、ユニコーンケーキなどのフード系はもちろん、髪を七色に染め上げる「ユニコーンヘア」、爪の先端をユニコーンの角のようにトルネードさせるカラフルな「ユニコーンネイル」、幻想的なパープルを使った「ユニコーンメイク」(淡いパステルカラーがミックスされているのもユニコーンカラー)など、ファッション分野でもユニコーン人気がじわじわと出てきている。
美容・フィットネス分野での「ユニコーン」の人気度。この1年で急上昇している
ユニコーンネイルは、角の形を模したくるくるの巻き爪が特徴。
渋谷ヒカリエで展開する洋菓子ブランド、モナーク オブ ロンドン(MONARCH of LONDON)にはこんなお菓子も登場した。
海外のユニコーン人気を日本でも広げるため、この夏から「ユニコーンスイーツコレクション」を展開。
「ユニコーンバニラカップケーキ」「ユニコーンヨーグルトスムージー」「ユニコーンアイスクリームマカロンサンドイッチ」の3商品を売り出している。
人気No.1の「ユニコーンバニラカップケーキ」。パステルブルーのクリームが幻想的。
売れ行きは他の商品と比べても格段に良いという。MONARCH of LONDONを運営するスピージェンシー広報の関紗友理さんによると、過去の期間限定商品の15倍程度は上回る人気ぶりだ。
人気の秘訣はなんと言っても「インスタ映え」。購入したほとんどの人が食べる前に写真を撮り、SNSにあげているという。
涼しげな「ユニコーンアイスクリームマカロンサンドイッチ」はインスタ映えも抜群。
いまミレニアルの心をつかんで離さない「伝説の一角獣」ユニコーン。
この夏は、滅多にお目にかかることのできないはずのユニコーンが街のあちこちで見られるようになるという、不思議な現象が起こるかもしれない。
ドヤ顔をしながら「ユニコーンヨーグルトスムージー」を街で飲むのが今年のトレンドになる…かも⁉
(撮影:西山里緒)