2030年の食料品業界トップはアマゾン —— 元幹部が今後の戦略を予測

調査結果のグラフ

調査:なぜオンラインで食料品を購入しないのか?(2015年)最も多かった回答は、「購入する野菜や果物は自分で選びたいから」(59%)だった。

BI Intelligence

高級オーガニック食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」を137億ドル(約1兆5000億円)で買収したアマゾンは、2030年までにアメリカの食料品業界でウォルマート(Walmart)を抜き、トップに立つ —— 。アマゾンの元幹部で、同社の食品配送サービス「Amazonフレッシュ」の世界展開を手掛けたブリテン・ラッド(Brittain Ladd)氏が、GeekWireとのインタビューで答えた。

アマゾンはホールフーズ買収によって、食品に特化したホールフーズの豊富な店頭売上データにアクセスすることが可能になる。ラッド氏はアマゾンについて、1年目は消費者の嗜好と食料品スーパー事業に関する洞察を深め、包括的な事業戦略を立てるべきだと言う。

アマゾンは新たな追跡テクノロジーをホールフーズの販売アイテムや客足の分析、データ収集に活かすこともできるだろう。これによってアマゾンは、客層ごとにターゲット化したプライベートブランドの開発、Amazonフレッシュによる配送サービスの訴求の最大化、さらには別の消費者ニーズに合わせた新たな店舗フォーマットの設計などが可能になる。

ホールフーズ買収によってアマゾンがいかに食料品スーパー業界を支配していくか、ラッド氏はいくつかの予想を立てている。

  • アマゾンはAmazonフレッシュに対する消費者の信頼を築くために、ホールフーズを活用する。アマゾンはまずホールフーズの店頭販売を通じて、常に新鮮で質の高い商品を提供するとの評判を確立し、それをAmazonフレッシュへ広げていくとラッド氏は見ている。これは、消費者が生鮮食品を買う際に直接品質を吟味したがる傾向があり、オンライン食品配送サービスにとってはそれがハードルとなっているからだ。ホールフーズの店頭とAmazonフレッシュで同じ品質の食料品を購入できるという消費者の信頼を獲得できれば、このハードルを越えることができるだろう。
  • ブランド価値を最大化するために、いくつかの異なる店舗フォーマットを導入する。アマゾンは、新たに多様な店舗フォーマットを導入するとラッド氏は見ている。ホールフーズの小規模店舗「365 by Whole Foods Market」や、Amazonフレッシュの商品受け取り専用ドライブスルー「Amazonフレッシュ・ピックアップ」が増える可能性もある。特にホールフーズの低価格ブランド「365」の拡大は、ウォルマートやドイツの人気ディスカウントスーパー「リドル(Lidl)」、「アルディ(Aldi)」との価格競争をアマゾンが制するために必須だ。ラッド氏はまた、「365」にアマゾンの無人店舗「Amazon Go」のテクノロジーを取り入れることで、営業コストの削減が可能となり、転じて消費者への還元も可能になると指摘する。
  • ホールフーズは最終的に再ブランド化され、アマゾンのワンストップ・サービスに統合される。動画ストリーミング・サービスからアパレル販売、従来型のオンライン通販に至るまで、とどまるところを知らないアマゾンのEコマース帝国に、ホールフーズの実店舗が再ブランド化によって統合される。これらすべての分野がアマゾン・ブランドとして一体化され、アマゾンは消費者が1カ所で様々な需要を満たせるワンストップ・サービス化を果たし、初の1兆ドル企業となるかもしれない。

[原文:Amazon insider speculates on grocery strategy

(翻訳:Tomoko A.)

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