展示会にはパテック フィリップの有名な腕時計がずらり。
Sarah Jacobs
世界3大高級時計メーカーの1つとして知られる、スイスの時計ブランド「パテック フィリップ(Patek Philippe)」が、ニューヨークで展示会を開催した。
会場となったのは、42番街にあるイベントホール、チプリアーニ(Cipriani)。展示会「The Art of Watches, Grand Exhibition New York 2017」では、1万5000平方フィート(約1400平方メートル)の空間に、歴史的にも貴重な輝かしい時計の数々が並んだ。
展示室は「異なる経験、異なるモチーフ」によって構成されていると語ったのは、パテック フィリップのアメリカ担当、ラリー・ペティネッリ(Larry Pettinelli)氏だ。
この展示会には、若い世代に同ブランドをアピールする狙いもあった。彼らは、その親世代のようには時計を購入しない。
「そう、これは時計だ。時間を教えてくれるものだ。しかし、人は生涯のうち、2世代か3世代、はたまた4世代にわたって引き継げるものを、どれだけ買うだろうか? (今の世代は)使い捨てが当たり前になっている」
ペティネッリ氏は言う。「稼ぐためだけでなく、芸術のために、芸術に賭している企業がまだあることを知ってほしい」
7月23日まで開かれていた展示会の内部を紹介しよう。
会場となったチプリアーニは、マンハッタンミッドタウン地区にある、かつて銀行だった場所だ。
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入ってまず出迎えてくれるのは、スイス・ジュネーブにあるパテック フィリップの工房のファサード。歴史ある建物の再現だ。
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レセプション・エリアも広い。展示室を案内してくれる。
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最初の展示室は、パテック フィリップの歴史を動画で紹介。1839年のアントワーヌ・パテック氏とフランソワ・チャペック氏による創業までさかのぼる。
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その後、現行のコレクションを展示した部屋へ通される。
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それぞれのケースは、この展示会のために特別に作られたものだ。
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この展示室は、ジュネーブにあるパテック フィリップのサロンがモデル。
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文字盤の周りにダイヤモンドがあしらわれた「ノーチラス」など、現行コレクションのレアなモデルも展示されている。
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次の展示室は「ナポレオン・ルーム」。壁のスクリーンには、ジュネーブの工房の風景が。
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この展示室では、パテック フィリップが展示会を記念して製作した特別な腕時計を鑑賞できる。
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通路を進み、歴史的な作品の展示室へ。
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今回、パテック フィリップの中で最も有名な作品の一部が、初めてニューヨークに上陸した。この1989年に作られた「キャリバー89」は当時、世界で最も複雑な時計と称された。
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他にも、さまざまな歴史的作品を展示会場のあちこちで堪能できる。
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複数の目的を果たすものもある。例えばこれらのピストルは、香水スプレーを兼ねた時計だ。
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チョウ柄のケースは、嗅ぎタバコ入れ兼用の時計。
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歴史上有名な人物が持っていた時計も、いたるところで鑑賞できる。例えば、写真左下の時計は、かつてビクトリア女王が所有していたものだ。
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次へ進もう。「アメリカン・ルーム」は、パテック フィリップにとってアメリカ市場が長年にわたり、いかに重要であったかを教えてくれる。
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こちらは、デューク・エリントンの腕時計。
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ジョン・F・ケネディ大統領に贈られた卓上時計も展示されている。
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ジョー・ディマジオが身に着けていた腕時計はこちら。
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他にも、アメリカの歴史に直接関わりがあるものが数多く並ぶ。このジョージ・ワシントンの肖像が描かれた懐中時計は、1851年のロンドン万博で展示された。
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「アメリカン・ルーム」を出ると、貴重なハンドクラフトの展示が目に飛び込んでくる。これらの作品群はどれも1点限りで、ほとんど値はつけられない。
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このエリアには、くまなく作業台が配置されており、時計の彫刻と装飾にどれほどの技術と精度が求められるかがうかがえる。
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階を上がると、機械式腕時計の心臓部、ムーブメントの展示がある。
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パテック フィリップの技術者たちが、時計のムーブメントを組み上げては分解するといった工程が、デモンストレーションとして見学できる。
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別のインタラクティブな(参加型)展示では、時計を裏返して、内部のムーブメントを見ることができる。
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最後の展示室には、機械式ムーブメントの複雑さを観察できる顕微鏡がある。パテック フィリップのスタッフが、ムーブメントの複雑な仕組みがどう機能するかを詳しく説明してくれる。
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会場で販売されたカタログの収益は、慈善団体Kips Bay Boys & Girls Clubへ全て寄付されるという。
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(翻訳:本田直子)