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レースが始まった。
資産・年金運用の分野でロボアドバイザーを導入する動きが、急激に進んでいる。
アルゴリズムを利用して資産の運用や配分を行うこれらの自動投資顧問サービスは、人間による操作を必要とせず、昔ながらの投資顧問に比べてはるかに安いコストでほぼ同じような結果を出してくれる。
その浸透ぶりは業界の秩序を混乱させるほどの勢い。大手企業も遅れを取るまいと乗り出すほどだ。
最新の例としては、ジョン・ハンコック・ファイナンシャル(John Hancock Financial)とNextCapitalの取り組みが挙げられる。
NextCapitalはシカゴに本拠を置くフィンテック企業。先頃、ジョン・ハンコック・ファイナンシャルに年金運用サービス(運用資産額は150億ドル:約1兆6000億円)を提供すると発表した。これは約270万人の確定拠出型年金(401kプラン)加入者に対し、自動投資顧問サービスを提供するもの。株式ポートフォリオのトラッキングや運用プランニング、貯蓄アドバイス、株式ポートフォリオの管理も含む。
NextCapitalの共同創立者であるロバート・フォレガー氏はBussines Insiderのインタビューに対し、わたしたちは「コンピュータ化の第三の波」を目撃していると語った。
「これまで、金融業界にはオンラインバンキングやネット証券取引というIT化の大きな波があった。そして今、401k年金運用と小口金融市場の両方でデジタル化の波がやってきている。投資アドバイスと資産管理さえもがデジタル化されつつあるのだ」とフォレガー氏。
ジョン・ハンコック・ファイナンシャルのCEO ピーター・ゴードン氏(Peter Gordon)は Business Insiderに対し、このジョイントベンチャーは「ユニークなファイナンシャル・アドバイス」を求める昨今の消費者の嗜好の変化に応えるものだと語る
同様の試みはほかにもある。
Wells FargoはSigFigとロボアドバイザー・サービスの提携を発表した(2016年11月)。SigFigは2016年5月にUBSアメリカの資産運用部門とも提携しているフィンテック企業である。
ロボアドバイザーの進出に対し、企業買収で対応する企業もある。例えば2015年には、BlackRockがFutureAdvisorを推定1.5〜2億ドル(約165〜220億円)で買収、Fidelityは eMoneyを“買った”。
上記のような提携・買収はロボアドバイザーが管理・運用する資産総額を大幅に上昇させている。2015年にはわずか1000億ドル(約11兆円)だったが、2016年には2倍の2000億ドル(約22兆円)に拡大した。2017年には6000億ドル(約66兆円)が見込まれ、2018年までにはロボアドバイザーの運用資産は1兆5000億ドル(約165兆円)に到達すると予測されている。
[原文:Wall Street is witnessing a 'third wave of computerization']
(翻訳:十河亜矢子)