ロレックスは突然、アップルウォッチという史上最大の脅威と戦うことになった

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Seiko Astron

Seiko

時計業界に最初の革命が起きたのは1969年だ。日本の時計メーカー セイコーが、クォーツ(水晶振動子)時計「Quartz-Astron35Q」を発売した年である。発売直後間もなく、時計業界の人々はそれを「クォーツ危機(Quartz Crisis)」と呼び始めた。

セイコーの「Astron」が発売されるまで、時計業界の中枢にはスイスの時計メーカーがいた。1970年当時、スイスには1500以上の時計メーカーがあったが、1983年の「危機」の影響を受けて、その数は600にまで減少した。クォーツの登場はスイスの時計メーカーを「高級品市場へと追いやった」のである。

イタリアのミラノに本拠を置くRE Analytics(ビッグデータの分析に長けた調査機関)の創設者、アンドレア・スクアトリオ(Andrea Squatrito)氏は、新技術の到来によってスイスの時計メーカーは再び市場競争の場に引き戻されると予測する。スクアトリオ氏の報告書『ロレックス:脅かされる業界(Rolex: An industry under threat)』では、スマートウォッチの登場がスイスの時計ブランドにとって、どのように新たな脅威となるかを解説している。

スクアトリオ氏の報告書は、ロレックスの顧客層を明確にわけている。2500ユーロ(約30万円:1ユーロ=120円)から1万1000ユーロ(約132万円)の価格で腕時計を購入する顧客層と、2万3000ユーロ(約276万円)から3万3000ユーロ(約330万円)の価格で腕時計を購入する顧客層だ。この2つのセグメントの顧客がもたらす収益がロレックスの売上全体の83%を占めている。

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Apple Watch Hermes retails for $1500.

Apple

スクアトリオ氏によると、同社の顧客基盤の45%を占めるロレックスのローエンド腕時計は、Apple WatchHermèsのようなハイエンドのウェアラブル端末によって危機に陥れられる危険性がある。

「高級ブランドのローエンド腕時計とハイエンドなウェアラブル端末には“タッチポイント”がある」、とスクアトリオ氏は述べる。

「アップルウォッチは『まだ』売り上げに関して、潜在能力を発揮しきっているわけではない。一方、スイスの時計メーカーは、まもなく事業の大部分を脅かされる事態に直面するだろう」とスクアトリオ氏は付け加えた。

スクアトリオ氏は、ロレックスや他のスイスの時計メーカーの終わりが近いとは思っていない。しかし、高級スマートウォッチとの激しい競争が、高級時計市場に大きな変化をもたらすだろうと強く信じている。

「例えば、ロレックスはシャネルのようなファッション企業の動向のあとに続き、ウェアラブル端末がもたらした損失を補うため、非主流製品の販売を拡大する可能性がある」と結論づけた。

[原文:Rolex is suddenly battling one of the biggest threats in history

(翻訳:梅本了平)

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