アリババの創設者ジャック・マー氏
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アメリカは戦争とウォール街(のビジネス)にあまりにも集中しすぎたために、過去30年間で道を誤った ―― 。中国アリババ・グループのジャック・マーCEOはそう考えている。先週水曜日、スイス・ダボスの世界経済フォーラムでマー氏は、トランプ大統領の当選に代表されるアメリカでの保護主義の高まりについて意見を述べた。
2005年に『フラット化する世界』(トーマス・フリードマンが)が出版された時、グローバル化はアメリカにとって「完璧な戦略」のように見えた、と彼は話した。「アメリカはテクノロジーや知的財産、ブランドがほしいだけだ。メキシコや中国のような国には“それ以外の仕事”を任せるつもりだったのだ」
「アメリカの企業は、グローバル化から大きな利益を得た。大学を卒業した時に、ポケベルを買おうとしたが、250ドル(約2万8000円)もした。当時のわたしの給料は月10ドル(約1100円)だった。IBMやマイクロソフトが得た利益は、中国上位の4つの銀行の利益を合わせた額よりも大きかった。そのお金はどこへ行ってしまったのだ?」
2011年、アフガニスタンでタリバンと戦う米軍兵士。
Pfc. Cameron Boyd / Wikimedia, CC
30年前、中国人が知っていたアメリカ企業はフォードとボーイングだけだった、とマー氏は言う。今日、中国人が口にする企業はシリコンバレーとウォール街にある。
また、アメリカは国外の紛争に多額の資金を費やした。「過去30年でアメリカは13回も海外に出兵した。それで14兆2000億ドル(約1600兆円)を費やした。その膨大なお金はアメリカ国民に使うべきだったのでは」「お金はウォール街に流れていく。それで、どうなった? 2008年は19.2兆ドル(約2200兆円)を失っている。もし、アメリカ中西部にお金が使われていたらどうなっていただろうか?」
「今や、他の国々があなた方から仕事を奪う。それが過去数十年であなた方が選んだ“戦略”の結果なのだ。適切な方法で資金を分配しなかった結果がこれなのだ」
話のどこかで、マー氏は『フォレスト・ガンプ/一期一会』が好きだと語った。ガンプの海老採りのボートにアリババと何か共通のものが見えたからだという。「誰もが鯨を捕まえてお金を稼ぐことはできない。多くの人は海老を捕まえてお金を稼ぐんだ」とマー氏はガンプの言葉を引用した。
それがアリババの「お金の稼き方」だ。
なお、マー氏は早めのリタイアを望んでいると明らかにした。「オフィスで死にたくはない。ビーチで死にたい」
[原文:Alibaba founder Jack Ma has a brutal theory of how America went wrong over the past 30 years]
(翻訳:梅本了平)