日銀とアベノミクスと円の未来

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日興アセット マネジメントの主席グローバル・ストラテジスト、ジョン・ベイル氏

Nikko Asset Management

Business Insiderは日興アセット マネジメント(ニューヨーク)主席グローバル・ストラテジスト、ジョン・ベイル氏にインタビューを行った。日興アセット マネジメントは東京に拠点を置くアジアを代表する資産運用会社であり、運用額は1765億ドル(約20兆円)に上る。32年間の業界経験を持つベイル氏に日本銀行、アベノミクス、円の見通しについて聞いた。


Business Insider:あなたの2017年の見通しでは、日本銀行は連邦準備制度(Federal Reserve System)と比べると穏健な金融政策を取ると予測していますね。

ジョン・ベイル氏(以下、ベイル氏):我々の基本シナリオとしては、一般的に言われているよりもより控えめなグローバル・リフレを予想し、連邦準備銀行は2017年度中に3回の利上げを行うだろうと考えています。日本もまた経済と物価のリフレが起こり、日本銀行は妥当な期間内にCPI(消費者物価指数)目標を達成し、第2四半期と第4四半期の両方で10年国債を20bps増加させるでしょう。ベースレートは固く保たれるので、利回り曲線は急斜化します。しかし、日本国債と米国債のスプレッドは、米国債の利回りがほぼ同等の水準まで上昇すると予想されるため、円が中規模の値下がりを起こす原因になるでしょう。

日本は円安の進みすぎを好みません。有権者が食糧価格の上昇に不満を抱く可能性があるからです。もちろんアメリカも、強すぎる日米関係が批判されている現在、いたずらに円を弱くしたくはありません。また、このケースでは日本株が上がる可能性があるため、日本銀行はETF(上場投資信託)の買い入れを年度内の中頃に縮小するかもしれませんが、市場への影響は小さいでしょう。

Business Insider:債務残高の対GDP比が230%を超える一方で人口の縮小が見込まれますが、日本の長期での債務返済戦略はどうなると見ていますか?

ベイル氏:年金などの給付金保証制度が不確かになる場合、ほとんどの主要国で債務残高の返済は困難に陥ります。ただし、日本の場合、金利が現在よりもやや上昇しているだけであれば、債務負担は持続可能だと考えられます。

Business Insider:2017年の日本の投資家にとって、どのような米国資産がもっとも興味深いと思いますか?

ベイル氏:米国株や多くの分野の米国企業のM&A、ソブリン(政府や政府機関が発行する債権)と企業の両方を含む3年から5年の米国債でしょう。

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日本銀行の黒田東彦総裁。

Thomson Reuters

Business Insider:日本の人口動態を見ると、人口は2030年までに約10%減少すると予測されています。強気な国債発行と円売りの維持はこれが理由でしょうか?

ベイル氏:日本は超高齢化と小規模化が進む農業制度を再構築する必要がありますが、すでに多くの点で見込まれている通り、ロボット利用を拡張することで、労働力の削減を計画しています。そのため、労働人口の減少はそこまで深刻な問題にはならないでしょう。このことが国債を支えてはいる要因の1つですが、円の先行きは他国の様々な要因にも左右されます。

Business Insider:コンセンサス予想では来年の日本のインフレ率が+ 0.5%に上昇することを予測しています。これはアベノミクスがやっと実を結び始めたことを意味しますか?

ベイル氏:アベノミクスは投資家だけでなく、一般社会でも成功だと認識され始めています。計測が非常に困難なマクロ経済統計がなんと言おうとも、日本経済は健全に成長しています。これは、金融緩和政策を進める人物を中央銀行総裁に置いたおかげです。多くの規制改革や制度改良が行われた結果、個々の改革は劇的なものでなくても、総合的に見ると日本の経済成長に貢献しています。

Business Insider:日本国債の10年利回り0%を目指す計画は実現可能だと考えますか?

ベイル氏:はい。日本銀行はすでに多くの債券を所有していますが、リフレに伴い、目標を上げる必要があります。このような状況下で曲線の長い方の端を制御または変更することは曲線の短い方の端とそれほど大きく異なるわけではありません。連邦準備制度はオペレーション・ツイストでも同じことを成功させました。

Business Insider:2017年の日本経済の見通しは? 日本株の先行きをどのように見ていますか?

ベイル氏:我々は日本経済が1.8%のGDP成長を遂げると考えています。人口減少に順応した後、1人当たりのGDP成長率は引き続き米国を上回るはずですが、GDPの測定には困難が伴います。 2016年の円高と普通に戻った円の対立で大幅な収益がリバウンドし、東証株価指数は16%の増加が見込まれます。しかし、その増加のほとんどは、主にグローバルでの成長の強化と日本の企業ガバナンスの継続的な改善によるものと推測しています。

[原文:One of Wall Street's top Japan experts on the BOJ, Abenomics, and the future of the yen

(翻訳:小池祐里佳)

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