VRヘッドセットをつけた大勢の人たちの横を歩くマーク・ザッカーバーグ氏
2014年、Facebookが20億ドル(約2300億円)でOculus VRを買収した時、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は以下のように予測していた。
「我々は今、次世代VRプラットフォームの開発に集中できる環境にいる。それは今まで以上に便利で、ユーザーの娯楽体験を一段と向上させることができる」とザッカーバーグは買収発表の文書の中で語っている。「没入型の拡張現実は何十億人もの日常生活に溶け込んでいくと、我々は考えている」とも。
約3年後、ザッカーバーグ氏はOculusに関して、VRが思ったほど早くブレークしなかったことを認めている。
過去1年、VRは誰もが予想したほど、はやるテクノロジーではないという証拠が積み重なり続けた。スマートウォッチは新しいコンピュータ・プラットフォームになると騒がれて登場したが、その予想に反し、不発に終わった。VRも同様の分かれ道に立たされている。
積もり積もった証拠は無視しがたい。
Oculus RiftとHTC Viveが発売されたものの、革新的なゲームやアプリがなければ機能しない。それに、ほとんどのユーザーにとっては手の届かない価格だった。ヘッドセットは600ドルから。モーション・コントローラーや他のアクセサリーを追加すればさらに高額になる。極め付けに、VR端末を使用するには強力なコンピューターが必要で、少なくとも500ドル以上は余分にかかる。
ソニーのPlayStation VR ヘッドセット
Matt Weinberger/Business Insider
SonyはハイエンドVRヘッドセットの救世主となる予定だった。新しく登場したPlayStation VRはすでに出回っている何百万ものPlayStation 4と連携できるように設計されており、競合商品に対してかなり有利だ。しかし、ViveとOculus Rift同様、PlayStation VRもゲームやそのコンテンツには活気が感じられない。
Googleが好調ではないことも最近わかってきた。The InformationのAmir Efratiの報告によると、Googleは、Daydream Viewヘッドセットの価格を今週49ドルに大幅値下げし、早期の販売数について残念な結果になったと結論づけている。
マーケットリサーチ会社SuperDataの情報によると、VRヘッドセットの業界全体での売り上げはかなり低く、PlayStation VRについても、予想より大幅に不調なことがわかってきた。
Statista
Oculus、Sony、HTCのVRヘッドセットの発売を控えていたあの頃、私たちは新しいコンピューティングの時代がやってくると考えていた。わずか1年前のことである。当時、その可能性は無限だった。
だが、今日、状況は変わってしまった。今回のVRブームは、新たなコンピューティングプラットフォーム、拡張現実、あるいはデジタル画像を携帯電話やヘッドセットを使用して現実世界に重ね合わせるといった技術革新への第一歩にしか過ぎなかった(MicrosoftのHoloLensがわかりやすい例だ)。
GoogleとFacebookは同じことを言うだろう。「我々はVRの黎明期にいる。今、開発中の製品はこれからのARプロジェクトとして発表される」と。
その時が来るまで、VRは良くてもニッチな製品どまりだろう。
[原文:What happened to virtual reality? (FB, GOOG)]
(翻訳:Satoru Sasozaki)