トランプ大統領
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トランプ大統領はホワイトハウスのウェブサイトにさまざまな政策を掲載した。
雇用と経済に関するページでは、実現がかなり厳しいと思われる政策が掲載されている。
「経済を活性化させるために、トランプ大統領はこの先10年間で2500万人の雇用を創出し、経済成長率を4%に回復させるという大胆な計画をまとめた」
4%の成長率は、トランプ大統領が以前に述べたものだが、今やホワイトハウスと大統領の公式な政策となった。
ただ、問題はこの政策を実現するのは、信じられないほど難しいということだ。
金融危機以来、アメリカ経済は低成長に陥っており、過去7年間は1.5%〜2.5%の年間成長率を抜け出せずにいる。これは1950年からの平均年間成長率の3.1%よりも低い数字だ。
低迷する企業投資、貯蓄率の増加、低賃金など、低成長にはいくつかの要因があり、年間成長率をほぼ2倍に戻すことは大変な課題である。
そのうえ、アメリカ経済が世界経済に及ぼす影響を考えると、大統領の政策の影響は限定的なものにとどまる可能性が高い。現在、IMFは2016年の世界のGDP成長率を3.1%、2017年は3.4%と予想しており、アメリカ経済がこの水準を上回ることは考えにくい。
トランプ大統領は、さらに法人税率の引き下げと規制緩和によって、4%成長を達成すると述べている。
しかし、世界銀行によれば、法人税の引き下げは今年0.3%、来年0.8%の成長率しかもたらさないと予想している。
一方で、多くのエコノミストたちは、トランプ大統領の国際貿易に対する強硬姿勢や、国内生産を重視する姿勢が、経済成長のマイナス要因になると予想している。報道によると、トランプ政権は、5%の関税を検討しているが、Citiのエコノミストは、この政策がGDP成長率を1%減少させるとする。
トランプ大統領のさらなる問題は、FRBだろう。FRBのイエレン議長は、トランプ大統領の当選以来、論調を変えて、さらなる金利引き上げを見込んでいる。
利上げは、インフレ懸念を抑制するが、経済成長も抑制してしまう。事実、FRB独自のGDP予測は4%をかなり下回っている(もちろんただの予測であるが)。
つまり、4%のGDP成長率を達成できれば素晴らしいことだが、トランプ大統領の政策を総合的に考えると、これはかなり難しいと言わざるをえない。
〔原文:Trump is officially making an economic promise that will be nearly impossible to keep〕
(翻訳:一柳優心)